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「20年に1人の逸材」のはずが…。西武・雄星、1年目の挫折の意味。
2010年07月14日 (水) | 編集 |
            中村計 = 文 


西武のゴールデンルーキー、雄星は1年目から活躍できるのか、
できないのか。
その結論がひとまず出たようだ。

先日、雄星は「左肩腱板の炎症」を理由に
7月22日のフレッシュオールスターを辞退した。
5月4日以降、実戦から遠ざかっているということもあり、
残りのシーズンで故障を完治させ、そこから再度調整し、
ファームで実戦経験を積み、
一軍でデビューするというのは相当難しいように思われる。
ましてや、「黄金級」の評価にふさわしい投球内容を
披露するというのは。

~楽天・田中ら高卒ルーキーの活躍がある空気を生んだ~

きっかけは'07年、楽天の田中将大が
高卒1年目で11勝を挙げたことだった。
翌年は千葉ロッテの唐川侑己が同じように高卒ルーキーとして5勝し、
シーズン終盤で一軍昇格を果たした
同級生のヤクルトの由規も2勝を挙げた。

高卒1年目でも、
ドラフト1位クラスの選手なら即戦力になるのではないか――。

清原和博や松坂大輔クラスの怪物はいざ知らず、
数年前までなら、高卒ルーキーはまずは体づくりから
という雰囲気が当たり前だった。
ところがそれらの事例によって、新たな空気が生まれた。
当の選手たちも、ソノ気になっていたに違いない。

ましてや高校時代、
「20年に1人の逸材」、「世界の宝」とまで言われた雄星は、
ドラフト開始以来、
もっとも評価の高かった高校生左腕と言ってもいい。
周囲の期待だけでなく、
自分で自分にかける期待も小さくなかったことだろう。

今年1月、雄星は1年目の抱負についてこんな風に語っていたものだ。

「最高の目標は2ケタ(勝利)。
 中間は、開幕一軍で5勝。最低は1勝です」

そんな発言を聞いても、
こちらも思い上がっているなどとは少しも思わなかった。
むしろ、これだけ注目されているルーキーなのだから、
それぐらいのラインが妥当なのではないかとさえ思っていた。

~高校時代MAX154キロを誇った直球が140キロ前後に~

だが実際には、通用するしない以前の問題だった。
高校時代と同じストレートさえ投げられなくなってしまったのだ。

プロに入ってからというもの、
雄星の真っ直ぐは出ても140キロ台止まり。
ひどいときは140キロにも届かず、高校時代、
MAX154キロを誇った真っ直ぐは見る影もなくなってしまった。

高校3年夏、肋骨を疲労骨折した影響で、その後、
十分な練習ができずに体のバランスを崩し、
結果的にフォームを見失ってしまったという。

だが、それだけではないだろう。
昨年9月の新潟国体の初戦、故障が癒えた雄星は、
夏の甲子園以来およそ1カ月振りにマウンドにのぼった。
9回1イニングのみの登板ということもあって、
そのときの真っ直ぐはやはりすごかった。

夏の甲子園で全国制覇を果たした中京大中京の4、5、6番打者に対し、
決め球はすべて真っ直ぐ。
150キロ台を連発し、3者連続空振り三振に仕留めた。

少なくとも、故障がほぼ治った段階で
あれだけのボールが投げられていたのだから、
不調の原因は疲労骨折の影響だけではあるまい。

ひとまず、あの真っ直ぐが、
プロ野球の一軍打者にどこまで通用するかを見てみたかった。


~「今のままでも即、通用する」という言葉の落とし穴~

 雄星のつまずきは、ひとつのことを物語っている。

プロのスカウトが、高校生に対し、
最大の賛辞としてよく使う言葉がある。

「今のままでも即、プロで通用する」

雄星も何度となくそう言われたものだ。
だが、その「今のまま」の力を数段上のステージでも
同じように出すことがいかに難しいか。

それは、どこか自転車に乗れるようになるまでの過程に似ている。

誰もがこんな経験があるのではないか。
まだ自転車に乗れない頃、親が
「押さえてるから大丈夫だよ」と言い、
それを信じているときはうまく乗れていたのに、
そう言いながらも実際は手を放していることに気づいた途端、
バランスを崩してしまう。

投手でも同じことが言える。
高校時代、少々甘いところにいこうがまず打たれることはあるまい
と思って投げていたのと、
プロで少しでも甘いところに入ったら打たれるかもしれないと
ビクビクしながら投げるのとでは、
自ずとフォームも変わってくるし、球の勢いも違ってきてしまう。
自転車と同じように、自信満々のとき、
つまり前者の方がいいパフォーマンスを発揮できることは言うまでもない。

~ドラフト1位でも、1年目は活躍できないその理由とは?~

ただ、だからといって、
雄星の現状を悲観することはまったくない。
田中と同年代で、現在、広島で大活躍している前田健太も、
1年目は一軍登板はなかった。
西武の涌井秀章も、わずか1勝に終わっている。
実際には、たとえドラフト1位であっても、
いきなり手を放され、
1年目から高校時代と同じようにスイスイと自転車をこげるものではない。

普通に投げることさえできれば、相手がプロとはいえ、
そう簡単に打たれるものではない――。
それを頭ではなく、体が信じられるようになるまで。

たとえどんなにすごいボールを持っているルーキーであっても、
その境地にたどり着くまでがけっこう時間がかかるものなのだ。
それは雄星とて、例外ではなかったということだけなのだろう。  



【筆者プロフィール 中村計氏】

1973年千葉県出身。ノンフィクションライター。
某スポーツ紙を経て独立。
『Number』(文藝春秋)、『スポルティーバ』(集英社)などで執筆。
『甲子園が割れた日 松井秀喜の5連続敬遠の真実』(新潮社)で
第18回(2007年度)ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。
他に『佐賀北の夏』(ヴィレッジブックス)、
共著に『早実vs.駒大苫小牧』(朝日新書)などがある。
『雪合戦マガジン』の編集長も務める。
趣味は、落語鑑賞と、バイクと、競艇。

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コメント
この記事へのコメント
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2010/07/14(Wed) 22:56 |   |  #[ 編集]
私のドラフトブログの基本的なドラフト候補の見方に、「高卒だから」「大卒、社会人だから」というのはありません。プロは、実力次第、ですから、この記事のライターさんとは、全く考え方は違います。

例えば、マー君は、楽天で野村監督だから1年目で起用され、たまたま分岐点のソフト戦満塁で小久保を打ち取れてきっかけをつかみました。山崎武は、シーズン後小久保三振のボールを運よく打ち取れた球だったと述べています。マー君は、投球に野手を味方につけた。

前田健太は、広島というチームの1年目はファームで体作りの方針もありました。今村も、今ファームでじっくりです。

この2人も、楽天のあの時期だったら、野村監督は起用した可能性があります。

結局、タイミングなんですよ。

菊池の場合、夏と秋の故障をおした投球が原因です。もっと追求すると、野球小僧で今村が分析していたように菊池は、「体を大事にしていない」故障に気をつける意識が不足していたようです。

今回、菊池の件で学んだのは、いくらスカウトが絶賛し、有名な江川さんクラスが絶賛しても、戦うのは本人で、油断したら負けだという事です。スポーツを本格的にやっていた人ならわかるでしょうが、フォームを崩したら、感覚を取り戻すのに相当苦労する場合もあります。そういうもんでしょう。

今年から、一花認定候補は、どんなにスカウトやマスコミが絶賛していても、私自身が少しでも疑問があれば、対象から外しています。
2010/07/15(Thu) 21:12 | URL  | 一花 #-[ 編集]
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