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赤星憲広と高橋吉伸 “ギリギリ”を避けるプロの勇気
2009年12月21日 (月) | 編集 |
 鷲田康 = 文  


野球ではスピードがあって、
守備センスの高い選手ほど余計な失策を犯すことがある。

普通の選手ならば追いつかない打球にギリギリで追いついてしまう。
体勢を崩して、ムリに捕球をするので、
ボールを捕り損ねることもある。
それが追いついてグラブに触れたがために、
失策として記録されることがあるためだった。

 これは選手のケガでも同じだった。

運動能力の高い選手ほど危険なプレーに挑んでしまう傾向はある。
ギリギリのプレーをしてしまう。
してしまうというより、できてしまうという方が正しいのだろう。
捕れそうもない打球にギリギリで体を伸ばし、
ダイブして捕球しようとする。

そのムリな捕球やダイブの衝撃に、体は悲鳴をあげてしまうわけだ。  


~原監督が高橋に命じた“ダイビングキャッチ禁止令”の真意~

2006年に巨人の原辰徳監督が、こんな指令を出したことがある。

「ヨシノブ、もう飛ぶな!」

高橋由伸外野手もそんな、
ギリギリができてしまう選手の一人だった。

入団2年目の1999年には打球を追ってフェンスに激突して鎖骨を折った。
その後も2005年には打球を追って外野フェンスに足を取られて
右足首を捻挫した。
そしてこの年、
シーズン開幕直後にダイビングキャッチを試みて左わき腹を痛めて
1か月近く欠場。
復帰した直後の5月末に再び、打球を追ってダイブして左肩を強打した。

「1つのアウトをとるためにギリギリまでボールを追うのは、
 野球選手にとって本能のようなものだけどね。
 でも、主力選手の務めとは何なのか。
 それを考えたら彼のプレーは軽率といえるかもしれない」

原監督はあえて厳しい言葉を吐いて、
高橋にダイブ禁止を申し渡した。

1つのアウトのために、主力選手が長期欠場という代償を払うことは、
結局はチームにとってマイナスになる。
だから本能のままに飛ぶことは、
決してチームプレーではないということだった。  


~命を危険にさらしてまで全力プレーにこだわり続けた赤星~

「100%の力を毎試合出せなければ、他の選手に勝つことはできない」

阪神・赤星憲広外野手の引退会見の言葉だった。

この男もそんなギリギリのプレーができてしまう選手の一人だった。

9月12日の横浜戦。
打者・内川の放った右中間の飛球を追ってダイブした。
すでにこのときまでに赤星の体は首はムチ打ち、
腰は椎間板ヘルニア……と過酷なプレーの積み重ねでボロボロだった。
そしてダイブして体をグラウンドに打ちつけた瞬間に、
残された1本の糸が切れた。
立ち上がってもヨロヨロと体が揺らぎ、まともに歩くこともできなかった。

「中心性脊髄損傷」と診断されたのは10月の再検査でのことだった。

「今度やってしまったら、最悪、命の危険もある」

担当医の言葉にこのスピードスターは、
ユニフォームを脱ぐ決意をせざるを得なかった。



~観客を沸かせるファインプレーの代償が選手生命とは…~  

野球の醍醐味の一つは、球際のプレーである。
テレビで見る好プレー集の華麗なダイビングキャッチの連続には、
胸のすく爽快感がある。

「目の前に打球が飛んできて、
 捕れると思った瞬間には飛びついてしまう。
 その瞬間の頭は真っ白。ケガのことなんか考えられない」

高橋は飛ぶ瞬間の心の内をこう話していた。

赤星もまた、
その瞬間には自分の傷みきった体のことなど吹き飛び、
目の前のボールを捕る、という本能だけだったはずだ。

ただ、本能に赴くプレーは、
あまりに大きな代償を支払うことになってしまった。

不必要なケガを避けるためには、
“飛ばない勇気”も必要だ。  

選手のグラウンドでの務めは、
勝利のためにできうる限りの
最高のパフォーマンスを繰り広げることにある。
ただ、プロ野球の世界は、シーズン144試合、
毎日のように試合があり、日々違ったファンが観戦にやって来る。
そのファンのためにも、
元気にグラウンドに立つこと、
それこそが選手たちの最初の務めであるはずだ。

ケガをしないプレーをする知恵、
飛びそうになったときに飛ばない勇気―
赤星の悲劇を聞いたとき、
選手にはその知恵と勇気もまた必要だと、改めて痛切に思った。




【筆者プロフィール 鷲田康】

1957年埼玉県生まれ。
慶應義塾大学卒業後、報知新聞社入社。
およそ10年にわたり読売ジャイアンツ取材に携わった。
2003年に独立。日米を問わず野球の面白さを現場から伝え続け、
Numberほか雑誌・新聞で活躍。
著書に『僕のメジャー日記 松井秀喜』(文藝春秋)、
『ホームラン術』(文春新書)がある。
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コメント
この記事へのコメント
こんばんわお邪魔します。

ダイビングキャッチ等は見ている物にとって華があり素晴しいプレーですが
同時にとりかえしのつかない怪我をする可能性も秘めている為にするなという事も分かります。
しかしその一瞬を全力でやり続ける為に危険なプレイでも果敢に挑む事もどちらもスポーツには必要な事なので本当に難しい問題だと思いますね。
2009/12/21(Mon) 20:56 | URL  | スポーツ猫 #CwrboUno[ 編集]
うちのお兄ちゃんがそのダイビングキャッチに憧れて最近やたらダイビングキャッチをやっていました。コーチ達も捕れないと思っても飛べ!って言うので滑り込んで捕るんです。そんなことばかりしてるので土曜日に右手を変な風について腕を痛めてしまいましたv-292
ケガをしても捕ることが本当にかっこいいことなんだろうか?と私は疑問に思ってしまいます。
子供達はプロの先週をかっこいいと思い憧れそうなりたいと真似をするのでそういう影響も考えてケガをしないプレーをする知恵、飛びそうになったときに飛ばない勇気を持ってほしいと私も思いました。
2009/12/22(Tue) 13:57 | URL  | decojun #-[ 編集]
decojun さん、こんばんは。
カッコいいことはリスクも背負う、っていうことを
赤星選手は教えてくれたのですね。
見栄えはいいですが、長くプロ野球選手であり続けたいのであれば、
イチロー選手のような地道な毎日のストレッチや準備、
体調管理が大切だと思います。
赤星選手は足が人より速かった、ということの過信が
このような結果に繋がってしまったのかもしれません。
2009/12/23(Wed) 21:37 | URL  | kuni28 #-[ 編集]
スポーツ猫さん、こんばんは。
新庄さんも、かつてプロ野球選手だった頃、
外野での守備の極意を語っていたことがありました。

『だいたい飛んでくる方向は分かる、
後はファンへのパフォーマンス。
少しわざと遅れてスタートしてキャッチ。
それがスターの証』―。

ファンへ魅せる野球を選んだ新庄さんの野球寿命は
短かったと思います・・・。
野球にこだわっていなかった、というのも
あるのでしょうけど。
2009/12/23(Wed) 21:49 | URL  | kuni28 #-[ 編集]
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