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イチロー流新調整術
2009年12月08日 (火) | 編集 |
2009年、米大リーグ、マリナーズ・イチロー(36)には
9年連続シーズン200安打の記録がかかっていた。
ウィリー・キーラー(オリオールズなど)の持つ
8年連続のメジャー記録を108年ぶりに更新できるか―。
日米の注目も集まっていた大事なシーズン。
実は、ひそかな『冒険』をしていた。
そのことを本人が明かしたのは、
10月4日の今季最終戦が終わった後だった。
  

『今年はマッサージを極端に減らしたんですよ』―。  

シーズン中のイチローは、試合前の『準備』に
驚くほど時間をかける。
本拠地シアトルでのナイターの日は、
試合開始の6時間前には球場入りし、ストレッチやマッサージなどで
体をほぐしてからチームの練習に加わる。
渡米後8年間、このルーチンは崩さなかった。
  

それを変えた。  

毎日1時間半かけていたマッサージを
『月に2回くらいしか、しなかった』と振り返る。
マッサージは体のケアのために欠かせなかった。
ただイチローは、ずっと微妙な違和感を感じていた。
『体がむくんで(打撃の)感覚が少しずれる』―。
今シーズン前、森本貴義トレーナーに、
そう相談した。


3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)後に
胃潰瘍を患って開幕8試合を欠場。
  
例年以上のペースで安打を量産するために、
打撃の感覚を優先したい気持ちもあったのだろう。
大記録がかかった年に、あえて新しい調整法に挑んだ。
  

効果は表れた。  


毎年ある先はスロースタートだが、4月から打率3割をキープ。
5月から6月に自己最長となる27試合連続安打もマークし、
球宴前の前半戦はメジャー9年目で自己最高の
3割6分2厘を残した。
  

ただ、心配していたことも起こった。
疲れを抜くため、マッサージの代わりに試合後にサウナに入ってきたが、
8月下旬に左ふくらはぎを故障して8試合欠場。
9月13日のレンジャーズ戦で200安打は達成したものの、
最終的な打率は3割5分2厘となり、
5年ぶりの首位打者を逃した。
  


しかし、イチローは故障も財産だったという。  
『(疲れがたまっていた)あの状態で、
 どうすればああなるかが、見えた』―。
新しい『準備』の仕方について、来季以降への可能性を
見出していた。
  

結果を残していれば、調整法など変えないのが普通だろう。
現状に満足せずに、絶えず『挑戦』する姿勢。
イチローの向上心の強さを改めて知った。


                読売新聞 フィーチャー2009より
                            霜田聖氏


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