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ノムさん退任にみるプロの厳しさ
2009年11月10日 (火) | 編集 |
~球団経営にもっと危機管理意識を!~
                           鷲田康 = 文  

 感動のフィナーレだった。

札幌ドームで行なわれたパ・リーグのクライマックス・シリーズ
第2ステージ。
4勝1敗で日本ハムが日本シリーズ進出を決めた
試合後のグラウンドは、
勝った日本ハムへの祝福ではなく、
敗れた楽天の野村克也監督の退任セレモニーのような
形になってしまった。

楽天ナインだけではない。
ヤクルト時代の教え子の日本ハム・稲葉篤紀外野手、
吉井理人投手コーチらも混じって両軍選手による胴上げ。
スタンドから湧き上がる野村コールの中で、
老監督は野球人生の幕を降ろした。

「球団首脳へのボヤきは功労金のため」という噂まで流れた。
最後はテレビのワイドショーも参戦して
「ノムさん、可愛そう……」「もっとボヤきを!」と
異常な盛り上がりとなった野村監督の退任騒動。
だが、実際のところは世間に伝えられるような美談では
語りつくせないドロドロの退任劇だった。  


早々に“解任”を決めている球団に対して、
マスコミをつかって揺さぶりをかけた野村監督。
実は早くから横浜に“売り込み”をかけるなど、
シーズン中から次の就職活動もしており
退任は織り込み済みだったと見られる。
それでは最後の騒動の狙いは何だったのか? 
「留任」ではなく「功労金」だったのでは、
というウワサがまことしやかに流れた。

その狙い通りだったのか。
厳しい球団批判をしていたノムさんが、突然、上機嫌になった。
三木谷会長との会談で年俸1億円といわれる
名誉監督就任が決定、しかも席上「何年契約?」と直談判して、
3年契約を結ぶことになったのだから笑いが止まらなかった。

監督退任はうまくいったが子飼いのコーチたちは就職浪人に。
そしてその陰では……。
長男の克則バッテリーコーチが早々と巨人への再就職が
決まったのとは裏腹に、
監督子飼いといわれた橋上秀樹ヘッドコーチや
池山隆寛打撃コーチ、松井優典2軍監督らは、
次の就職先も決まらないままに球団からの解雇通告を受けた。


~労働争議で“ボス交”という言葉がある。~

経営者と組合トップが裏交渉をして双方の利益優先による
妥協を計ることだ。
野村監督の退任劇を見て、思わずこの言葉を思い出した。

そこには仁義はない。
“ボス交”で泣くのは下で働く組合員……。
楽天の現場スタッフとして監督に尽くしてきた
コーチたちだというわけだった。


~最近の監督人事には“仁義”が無いのでは?~

こうしたスタッフの置き去りとは違うが、
最近の球界人事には“仁義”はまったくなくなってきている。

監督を退任したら、
すぐにライバルチームのユニフォームを着るのもその一つだ。

思い起こすとその先鞭をつけたのも
ヤクルト監督を退任するとすぐに阪神監督に就任した
野村監督だった。
その後には中日監督から阪神の監督に鞍替えした
星野仙一現阪神SDの例もある。

その昔、巨人を石もて追われた三原脩は
西鉄ライオンズの監督として再起を図り
「打倒巨人」に闘志を燃やした。
だが、そのときは1949年に巨人監督を辞すと、
その後は名ばかりの総監督として日がな大好きな
碁を打ちながら一年間の“浪人生活”を過ごしている。
そして1951年に西鉄ライオンズの監督に就任。
その後の黄金時代を作り上げることになる。

だが、最近は右から左にボールを持ち替えるように、
同一リーグのライバルチームの監督へと転身する。
そこには世話になったチームへの仁義もへったくれもない。

監督が移れば秘密も漏れる……。
情報管理に無策な野球界。
一般社会でも日本的な終身雇用から転職、
ヘッドハンティングなど欧米の契約概念が次第に広まってきている。

その中でむしろ一般企業の方がその人材と情報を守ることに
大きな努力を払っている。
人が動くということは、その人間の持つ情報も同時に動くということである。

野球界のそういう点での危機意識の薄さ、
無防備さは一般企業からは信じられないものだという。

少なくとも最高機密に触れる監督ぐらいは、
他のチームに移るときには必ず1年以上の期間を空けるなどの
厳しい制約があってもいいのではないだろうか。 



    ~筆者プロフィール 鷲田康~

1957年埼玉県生まれ。
慶應義塾大学卒業後、報知新聞社入社。
およそ10年にわたり読売ジャイアンツ取材に携わった。
2003年に独立。
日米を問わず野球の面白さを現場から伝え続け、
Numberほか雑誌・新聞で活躍。
著書に『僕のメジャー日記 松井秀喜』(文藝春秋)、
『ホームラン術』(文春新書)がある。
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