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ノムさんが仕掛けた「一球の罠」。
2009年10月20日 (火) | 編集 |
喧嘩上等・楽天の次なる手は?
                       田口元義 = 文  


中学時代、暴走族の従兄弟がこう言っていた。

「喧嘩っつうのはなぁ、売ったほうが大概負けんだよ」

経験則からして、確かにそうだったような気がする。
ただ、ことスポーツにおいては、
そのような概念は通用しないのだと、
東北楽天対福岡ソフトバンクのクライマックスシリーズで
勝手に納得してしまった。

3位以上が確定してからの楽天は、世間を賑わせ続けた。

仕掛け人は当然、指揮官の野村克也だ。
後任候補が今季で広島を退団するブラウンだと分かれば、
報道陣の前で彼の十八番である
ベース投げのパフォーマンスを披露。
リンデンの監督批判に対しても、
コメントを控えることなく一部始終をぶちまけた。
解任が決定となると
「2連敗で終わるやろ」と早くも白旗宣言などなど、
監督の言動は連日スポーツ紙の一面を飾った。

野村監督のパフォーマンスはすべて計算ずくな“喧嘩の作法”。
ただ、監督・野村克也の歴史を紐解くと、
この一連のパフォーマンスは
リップサービスでもネガティブ・シンキングでもなんでもない。
喧嘩、挑発だと捉えるべきだ。  


過去にも似たようなことがあった。
南海のプレーイング・マネージャーを務めていた1973年、
前期は優勝したものの、後期は大失速。
そこには、プレーオフの相手になるであろう
阪急のデータ収集や戦術をたてる期間に費やすという意図があった。
さらに、後期の直接対決では完全に手の内を隠し、
12敗1分と「死んだふり」を決め込んだ結果、リーグ優勝を果たした。

'95年のオリックスとの日本シリーズでは、
2年連続首位打者のイチローに対し、
「たいしたことない」、「弱点は内角高めのストレート」と
'73年とは逆に、シリーズ前から手の内を何度も公にした。
それがイチローに直接影響を及ぼしたかどうかは知りえないが、
徹底した内角攻めによって彼はヤクルトバッテリーに完璧に封じられた。

今回のクライマックスシリーズでも、
「1球が命取り」と言っているように、
誰よりも短期決戦の恐ろしさを知っている野村だけに、
打てる手は全て打っておく。
ユーモラスな対応で周囲の目を引きつけながら、
実はそこを通じて相手に喧嘩をふっかけている。  


 たった1球、相手がその喧嘩に乗ってくれさえすればいい。   



第1戦、ソフトバンクの先発・杉内俊哉は、
“白旗宣言”を掲げる楽天を甘くみたのか、
まんまと野村の術中にはまってしまう。  

1回裏、内角低めのストレートが高めに浮き、
シーズン1本塁打の先頭打者・高須洋介に
レフトスタンドへ運ばれてしまう。
その後、セギノールにも2ラン、3回には鉄平のタイムリー、
伏兵・中島俊哉にも本塁打された。
これらは全て高めの失投を痛打されたもの。
杉内は3回途中7失点で降板。
高須への1球ですべてが狂ってしまった。

第1戦は指揮官が巧みにセッティングした喧嘩によって
手にした勝利ならば、
第2戦は選手の意地を見た試合だった。   


先発の田中将大は、
相手打線に的を絞らせない圧巻の投球で無四球完投。
高校時代から幾多の修羅場を経験し、
何よりも「気持ち」を大事にする若きエースは、
この大舞台で見事に真価を発揮した。
  

それ以上に、主砲・山崎武司の3ランが大きかった。
不惑を過ぎてもなおチームを牽引する男のひと振りは、
何よりの潤滑油となる。
  


 かつてこのふたりは、こんなことを語っていた。  

「僕はこの先もずっといい調子が続くとは思っていません。
 悪い状況を素直に受け止めて。
 でも、絶対に負けられない試合は、
 『強い気持ち』を持って臨みたい」
  

21歳の若武者がそう語れば、
1度は引退を決意したこともある山崎も、
今後の現役生活についてこう答えた。
  

「『1年でも長くやりたい』なんて思っていませんよ。
 楽天では、その年ダメなら終わりだ、 
 くらいの気持ちでやっています」 
  


「過去や未来を断ち切り、今を生きる」という教え。  
「野村の教え」のなかに「前後裁断」という言葉がある。  
「過去や未来を断ち切り、今を生きる」という意味なのだが、
今の楽天は監督解任をきっかけになんらかの団結力が増し、
この言葉の精神が強烈に浸透しているのだろう。  

 

21日からは北海道日本ハムとの第2ステージが待っている。
岩隈久志、田中が完投したことで、
第1戦は永井怜が先発するだろう。
投手力ならば、ダルビッシュ有を欠き、
先発陣が万全ではない日本ハムよりも分がある。
不安視されている中継ぎ陣も、
シーズンの対戦では防御率2.80と安定している。

 
これからのポストシーズン、
今季限りで楽天のユニフォームを脱ぐ名将は、
どのような喧嘩を相手に仕掛けるのか? 
まずはそこに注目したい。




    ~筆者プロフィール  田口元義~

1977年福島県生まれ。
元高校球児(3年間補欠)。
ライフスタイル誌の編集を経て2003年にフリーとなる。
Numberほか雑誌を中心に活動。
試合やインタビューを通じてアスリートの魂(ソウル)を
感じられる瞬間がたまらない。
共著に「戦力外通告 プロ野球をクビになった男たち」、
同「諦めない男たち」などがある。
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