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巨人の若手が育つ理由
2009年09月29日 (火) | 編集 |
~米国流・岡崎二軍監督の功績~  

                       鷲田康 = 文   


2004年に西武の松井稼頭央内野手がフリーエージェントで
ニューヨーク・メッツに移籍した直後、
ゴロの捕球を巡ってこんな指摘を受けたことがあった。
  

「カズオは捕球の基礎ができていない」  

ご承知のとおり松井は高校野球の名門・PL学園高出身で、
送球に少し難はあったが、
日本では守備範囲の広さや肩の強さなど
当時の遊撃手としては指折りの存在だった。
  

だが、メッツの関係者からは
「カズオは捕球するときに他の野手からボールが見えなくなる。
 それは次の失策の元になる」という指摘だった。
  

日本球界屈指の名手の守備が批判された理由とは。
 理由は簡単だった。
  

日本ではゴロの処理を一連の流れで素早く行なうために、
体の右寄りで捕球して、
ボールを捕る動きの流れの中で送球動作に入る。
そのために右肩を引いて捕球するため、
左サイドにいる二塁手や一塁手からは一瞬、
ボールが死角に入ってしまうのだ。
  

メジャーでは常に
「他の野手に見せながら体の正面で捕れ」と
プロの世界に入った途端に、徹底的に教えこまれる。
  
ルーキー・リーグ、1A
(中南米の選手の場合はメジャーの各球団が
運営する野球学校も含めて)には、
それぞれのチームの選手育成用の指導マニュアルがあり、
コーチが入れ替わっても
まったく同じ方法で同じ基本を教育できる
システムが確立されている。
だから普段はチャランポランのプレーをする
中南米出身の選手でも、
ゴロへの入り方は徹底して正面なのである。
  

メジャー流の育成・指導術を学んだ岡崎二軍監督。
「あの経験がどこにどう生きているかはまだ分からないよ」
  

 巨人で今季から2軍を指揮する岡崎郁監督の言葉だった。  

岡崎監督は2005年、
巨人が提携関係にあるニューヨーク・ヤンキースの1Aと3Aに
コーチ留学をした。
  

「こういう世界があるということを知れたことが大きかった。
 個々の様々な指導方法や選手の育成の仕方、
 またチームとしてのファームという組織への考え方を
 実際に見て、学べたのはもちろん意義があったけど、
 まだ僕の場合は途上ですから。
 良かったのか悪かったのかは分からない」
  


~二軍での選手起用法には勝敗以上に大切なことがある~  

ただ、岡崎監督がアメリカで経験したことは、
間違いなく今の巨人の育成方針にマッチしている。
  

コーチ留学で得たことで意識的に実践しているのが、
ファームでの選手の起用法だった。
  

「アメリカでは1Aや3Aで先発で起用したらほとんど
 途中で交替させないんですよ。
 これは僕が監督になったら
 必ずやろうと思っていたことなんです」
  

日本の場合はファームも勝敗にこだわり、
試合の終盤になると代打を多用するさい配が主流だ。
勝つことではなく選手を育てることが目的といっても
「ファームも弱いということは
 若手の育成もできていないということ」
とみる球団幹部が多い。
そうしないと2軍監督も実績として評価されない。
そこでどうしても勝負にこだわったさい配が
生まれてしまいがちなのだ。
  

「やっぱり1試合を通じて選手を評価するという考えですよ。
 アメリカの場合だと途中で交替させられることは、
 選手にとって非常に屈辱的なことでもあるんです。
 ですから最後まで1試合を任せて、その結果で選手をみていく。
 そうやってやらなければ逆に選手の評価も
 見誤ることが出てくると思います」
  

坂本や松本に続く若手を育てるために……。
もちろんファームには一軍選手の調整という役割もある。
  

「あとは投手の場合は左のワンポイントとして
 育てなければならないとか、役割分担がはっきりしている。
 野手の場合は将来的には役割分担もしなければならないが、
 まずファームではその選手の総合力を伸ばしていくこと。
 その力を見定めていくこと。
 だから1試合を通して選手をみることが必要になってくる」
  

昨年のドラフト1位の大田泰示や中井大介、田中大二郎、
身長172cmの小兵外野手・橋本到や、
チームNO.1の快足を誇る藤村大介などファームの選手は、
この方針の下に先発で出場すれば1試合を任される。

 その先に第二の坂本勇人や松本哲也を生みだそうというわけだ。




≪筆者プロフィール 鷲田康≫

1957年埼玉県生まれ。
慶應義塾大学卒業後、報知新聞社入社。
およそ10年にわたり読売ジャイアンツ取材に携わった。
2003年に独立。
日米を問わず野球の面白さを現場から伝え続け、
Numberほか雑誌・新聞で活躍。
著書に『僕のメジャー日記 松井秀喜』(文藝春秋)、
『ホームラン術』(文春新書)がある。
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