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田中将大の恐るべき「胆力」
2009年09月08日 (火) | 編集 |
 中村計 = 文  


なんとも贅沢な時間だった。

8月の25、26、27日、9月1、2、3日と、至極の投手戦が続いた。
前者は西武ドームでの西武対楽天戦。
後者はKスタ宮城での楽天対西武戦だ。

両チームは現在、クライマックス・シリーズ進出に向け、
し烈な3位争いを繰り広げている。
その上、西武には涌井秀章、楽天には岩隈久志、田中将大という
日本を代表する投手がいる。
おもしろくないはずがない。

そんな中でも注目したいのは、やはり田中の勝負強さだ。
8月27日は8回を無失点で抑え、4-0で勝利。
さすがと思わせたが、
9月3日は逆に7回で4失点しKO。
0-4で敗れている。

絶対絶命のピンチで、捕手を逆に励ましていた田中。
なんという胆力なのだろう――。  


最初にそう思ったのは、高校3年生のときだった。

'06年、夏の甲子園。
田中を擁する駒大苫小牧は、3年連続で決勝戦まで駒を進めていた。
相手は「ハンカチ王子」こと、斎藤佑樹がいる早実だった。

1-1の同点で迎えた延長13回裏。
2死二塁から、
田中のショートバウンドしたスライダーを捕手が後逸し
(記録はワイルドピッチ)、三進を許してしまう。

そんなときだった。
動揺した様子を見せる捕手に対し、田中は顔色ひとつ変えずに
「大丈夫、大丈夫」と声をかけたのだ。
あの場面、あんな表情で、あんな風に声をかけられたら、
本当に大丈夫なんだろうな、そう思わせるような力があった。

2死三塁となった後、駒大苫小牧は満塁策を選択。
そしてその言葉通り、
田中は絶体絶命のピンチを二塁ゴロで切り抜けて見せた。

あの場面、捕手が投手を励ますというのならわかる。
だが、逆というのは初めて見た気がしたものだ。

プロ入りした田中は、その「胆力」でチームを引っ張る。
そんな頼もしさは、プロに入ってからも同じだった。

プロ入り一年目、
バッテリーを組む嶋基宏がこんなことを話していたことがある。
ちなみに二人は同期入団ではあるが、
大学出の嶋は田中より4つ年上になる。

「明らかに向こうの方が(立場は)上ですね。
 もう、完璧に。
 ピンチになったら、勝手にカーッとなって集中してくれる。
 いい方のカーッですよ。僕の方が年上ですけど、
 正直、自分が引っ張っているとは言えませんね」ー。  

  
~不安要素を頭から100%排除できる究極の集中力~  

それにしても、本当に田中が不安げな顔をするシーンというのを
見たことがない。
だから、想像さえつかない。
どんなときでも、追い込まれれば追い込まれるほど、気持ちが入り、
力を発揮した。
ピンチの場面を2者連続三振や3者連続三振で抑え込むシーンを
何度見たことか。
田中はそんなときの心理状況をこんな風に語っていた。

「自分の中で変わりますね、モードが」

――何とかしなきゃいけない、と?

「いや、なんとかしなきゃいけないじゃない。
 絶対、抑えてやるになりますね。
 (そういう場面は)自信があるとかないとか……
 別に、そんな余計なこと考えないですもん。
 もう、ほんと、絶対抑えてやるだけです。ほんと」

この言葉の中に田中の思考回路を垣間見ることが出来る。
つまり、不安要素を100%排除できるのだ。
というよりは、まさに「モードを変える」ように、
不安要素が入り込む余地がない回路につなぎ変えるという
感覚なのかもしれない。

後半戦、CS進出をかけた至高のピッチングが見られるはず。
シーズン終盤になって、田中にとっては
持ってこいの展開になってきた。
ローテーション通りにいけば、
次回の登板は10日のオリックス戦だ。
前回は4失点でKOされているだけに、
いつも以上に心中深く期するものがあるに違いない。

クライマックス進出。
前回のリベンジ。
次の登板も、最高の投球が生まれる条件が2つも整っている。

目覚ましい躍進を遂げている3年目。
あと残り数試合の中で、
プロ入り後、最高の投球が見られることは間違いない。


  ~筆者プロフィール~中村計氏  

1973年千葉県出身。
ノンフィクションライター。
某スポーツ紙を経て独立。
『Number』(文藝春秋)、『スポルティーバ』(集英社)などで執筆。
『甲子園が割れた日 松井秀喜の5連続敬遠の真実』(新潮社)で
第18回(2007年度)ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。
他に『佐賀北の夏』(ヴィレッジブックス)、
共著に『早実vs.駒大苫小牧』(朝日新書)などがある。
『雪合戦マガジン』の編集長も務める。
趣味は、落語鑑賞と、バイクと、競艇。
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