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夏に目覚めた虎の5番・荒井貴浩
2009年09月02日 (水) | 編集 |
熱狂的な虎ファンは、このコメントを今でも憶えているだろうか。

「今年の新井さんは3割5分、40本、140打点はいけるよ」

「今年」とは'08年。
この年から阪神へ移籍した新井貴浩について、
広島時代の先輩でもある金本知憲が報道陣に言ったものだ。

「金本さんの言葉は関西で影響がありますから……。 
 阪神ファンは信じるんですよ、絶対に!」

新井は金本の“評価”を完全否定する。
そのことを金本本人に告げると、さらりとこう返す。

「じゃあ、訂正しようか。4割、60本に」

ここまでくれば漫才に近いが、
ともあれ、阪神ファンは新井の打撃に期待している。

日本代表の4番を務めたことで、新井の意識が変わる。
昨年は、3番という仕事を全うした。
4番の金本に絶好の場面を作るべく、
進塁打など右方向への打球を心がけた。
それは、打率3割6厘、8本塁打という数字でも窺い知れるだろう。

打順が5番となった今シーズンこそ、
ファンは「3割、40本、140打点」を大いに期待する。
しかし、新井は開幕から絶不調。
7月の時点で打率2割1分4厘と不振を極めた。

「3番だと、『4番の金本さんが何とかしてくれる』と
 後ろ盾があるから安心して打席に立てる。
 でも、5番だと金本がチャンスで凡打したり四球で歩かされたりすると、
 彼は真面目な性格だから誰よりも
 『なんとかしなきゃ』と思ってしまう」

阪神OBの八木裕(現野球解説者)はこう語る。
確かに…数字を見れば結果的にその通りになってしまったと
思わざるを得ない。

今年の新井は、打順が変わろうともチーム打撃が目立つ。
少なくとも、広島時代は4番だったこともあり、
豪快にレフト方向へ引っ張ることが多かった。
とはいえ、阪神に入ったからといって
ガラリとスタイルを変えたわけではない。
一昨年の北京五輪予選、そして昨年の本戦で、
日本代表の4番を務めたことも大きく影響しているはずだ。

「(日本代表の4番になって)最初のうちは本当にヤバかった。
 『もし、勝敗を分ける場面で自分が打てなくて負けたら』としか
 考えられなくて」

五輪では見事に4番の重責を果たした新井だったが、
この経験が良くも悪くも沁みついているのだろう。

阪神移籍後は個人成績ではなく優勝争いを求めた新井。
阪神は日本代表に似ている。
常に大観衆の前で試合し、打てば賞賛され、
大事な場面で凡打すれば容赦なく叩かれる。
ましてや、今の阪神は以前のような“ダメ虎”ではない。
優勝候補に挙げられる強豪チームだ。

「個人成績だけがモチベーションならどのチームにいても変わらない。
 優勝争いをするなかで自分の力を試したい」

その想いで移籍を決意した新井は、
確かに阪神という特殊なチームに入ったことで苦しんだし、
今でも苦悩しているかもしれない。

ただ、8月に入り変化が生まれた。
そう感じた試合が2つある。

ひとつは18日のヤクルト戦。
2回の第1打席で、
石川雅規の外角へ逃げるシュートを豪快にレフトスタンドへ叩き込んだ。
それは、長距離砲として4番に君臨していた
広島時代の新井を彷彿とさせるものだった。

そしてもうひとつは、22日の広島戦。
8回、勝ち越しの場面で併殺となった金本が、
ヘルメットと手袋を投げ、珍しく自らへの怒りを爆発させた。
その姿を目の当たりにした新井は9回、
外角の速球を丁寧にセンター前へ打ち返し、サヨナラの口火を切った。

広島時代に見せた豪快さと、
阪神や日本代表で培った繋ぎの打撃が、この8月、
実に噛み合っている。
それは、23日時点で
74打数25安打の打率3割3分7厘、12打点、3本塁打という
数字にも表れている。

「自分を曲げるな、挫けるな」ボン・ジョヴィの言う通り。
阪神は現在4位。
3位のヤクルトとのゲーム差は8.5と、
クライマックスシリーズ出場は非常に厳しい。

そんな状況だからこそ、そう、
自らのテーマ曲である「IT’S MY LIFE」を思い出して欲しい。
ジョン・ボン・ジョヴィがこう叫んでいるじゃないか。

<Don't bend, don't break, baby, don't back down
(自分を曲げるな、挫けるな。ベイビー、引き下がるなよ)>と。

なんだか、このフレーズ、今の新井によく似合っている。



~筆者プロフィール・田口元義~
1977年福島県生まれ。元高校球児(3年間補欠)。
ライフスタイル誌の編集を経て2003年にフリーとなる。
Numberほか雑誌を中心に活動。
試合やインタビューを通じてアスリートの魂(ソウル)を
感じられる瞬間がたまらない。
共著に「戦力外通告 プロ野球をクビになった男たち」、
同「諦めない男たち」などがある。
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