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7年7つのイチローShort Story(5)
2007年11月28日 (水) | 編集 |
 ≪2007年 松坂の投げたカーブ≫
 ―もう二度と戻ってこない勝負の拭いきれない失望感―

 2007年4月11日、ボストン。
 メジャーでの松坂大輔対イチローの対決が目の前に
 迫っていた。
 一塁側のベンチ前でキャッチボールをしていた松坂が、
 小走りにマウンドへ駆け出す。
 三塁側のベンチから完全武装したイチローがゆっくりと
 歩いていく。
 グリーンモンスターを挟んで、松坂とイチローが
 同じ視界の中にいる。

 イチローはストレートを待っている。
 しかし松坂が投げた初球は、なんと、カーブだった。
 『ワーオ』―。
 松坂が投じた初球のカーブを見逃した瞬間、
 イチローは大声で叫んだ。
 『だって、せっかくジーンときてたのにさ、
  あれで冷めたよね(苦笑)。
  一番遅いカーブでしょ。ありえないよ』―。

 イチローと対戦したいと、松坂が名指しで口にしてきて
 くれたからこそ、イチローもその期待に応えられる
 自分であろうと、この日までに準備を重ねてきた。
 だからこそ、すべての力をボールに託したストレートを、
 すべての力をバットに託して打ち返したかった。
 結果がどうであれ、イチローは
 “初対決の一球勝負”を望んでいた。

 松坂とのメジャーでの初対決―。
 その初球は、もう二度とない。
 その1球で互いの切っ先を交錯させ、斬り合い、
 雌雄を決したかった。

 『あいつが投げた最初のカーブは、しばらくは僕の中から
  消せないね』―。

 相手が松坂大輔だからこその、イチローの手厳しい
 一言だった。
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