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折れたバットの再利用化
2007年09月22日 (土) | 編集 |
 『グシャッ!』・・・。
 トロピカーナフィールドに鈍い音が響き渡った。
 2003年4月5日、ヤンキース対デビルレイズ戦でのこと。
 日本ではめったにお目にかかれなかった光景が
 目の前で繰り広げられた。
 松井秀喜がこの試合3本のバットを折ったのだ。
 改めてメジャーのピッチャーの力を思い知らされると
 ともに、内角攻めや“沈む直球”への対応を
 考えざるをえなくなったのである。

 ニューヨーク・ヤンキースに入団が決まった直後、
 松井選手は大リーグの飛ばないボールに合わせ、
 従来のしなりの強いアオダモから、ボールにぶつけて
 飛ばすホワイトアッシュやメープル材のバットに
 切り替えることを決意、
 バット作りの職人・久保田五十一名人に
 作ってもらっていたのだ。
 『バットは体の一部です。
  そのバットが折れるようでは、僕の力がまだまだという
  ことなのだと思います』―。
 
 バットが折れたのは、材料のせいではない。
 ボールをバットの芯で捕らえられない自分に実力が
 ないからだ。松井はそう言いたかったのである。

 その時、松井選手は長嶋茂雄元監督の言葉を
 思い返していた。
 『バットを折るようでは、バットマンとして、まだまだ
  その域に達していないということです』―。
 技術とそれに勝る力があれば、バットは折れない。
 いや、折られない。
 師の言葉を思い浮かべながら、松井の新たな
 戦いが始まった。


 松井選手の優しい気持ちは、何も“人”に対して
 だけではない。
 バット、グラブ、スパイクといった野球用品を
 ことさら大切に扱う。
 
 これは日米の文化の違いかもしれないが、メジャーの
 選手の中には、準備体操をする時など、平気で
 帽子やグラブを放り投げる。
 が、松井選手の場合は、帽子とグローブをいつも
 キッチリ合わさるように並べてから準備体操に入る。
 そんな姿を見て、
 『彼は素晴らしい。いつまでもあの気持ちを忘れないで
  ほしい。他の選手も、是非見習ってほしいよ』―。
 と言ったのは、ヤンキースの用具担当、
 ルー・カクーザさんだった。
 
 そんな松井選手が、試合が終わると、何があろうと
 クラブハウスで真っ先にやるのが、
 グラブの手入れである。
 油をたっぷりスポンジに含ませ、グラブの隅から隅まで
 ゆっくり時間をかけて磨く。
 まるで恋人のごとく、大切に磨くのだ。
 
 『丹精込めて作ってくれた人の気持ちを思うと、
  粗末にはできません。それに、僕がナイスキャッチ
  できるのも、このグラブのおかげ。
  僕にとって、かけがえのない大切なものなんです。
  感謝しなくてはバチがあたります』―。


 もうひとつ、バットにも格別の思いがあった。
 日本にいる頃、久保田名人のところへ初めて行った時、
 『山の木からバットになるまでの話を聞いて、
  いろんなことを考えさせられました。
  バット1本作るにも、大切な資源が使われていること。
  その資源が失われれば、人間の体や心も壊されていく。
  そんな権利が僕らにあるのだろうか、ってね。
  野球ができるのも、健康な体があってこそ。
  それに豊かな自然や大地があって、初めて野球を
  楽しむことができるのではないだろうか』―。

 
 野球選手たちのバットを作るために、毎年どれくらいの
 木が切り倒されているのだろうか。
 そう考えると、1本のバットも無駄にはできない。
 松井選手は黙っていられなかった。
 
 『アメリカのも日本人がたくさんいる。
  最近では、お寿司を食べるアメリカ人も増えている
  のだから、箸を使うケースが多いと思うんですよ。
  だったら、こっちでも箸に再利用できるのでは
  ないだろうか』―。

 箸が無理なら鉛筆でもいい。
 折れたバットを何かに役立てることができるはず・・・。
 松井選手の取り組みが、アメリカに来て再び始まろうと
 している。


 
 ある日本の社会人チームの監督が、折れたバットを
 燃やしながら暖を取っている光景がテレビ画面に
 流れたことがあったが、それだけが処理の仕方ではない
 ことを、松井選手は証明してくれるだろう。
 

               
 
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