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本当に努力は才能を凌駕できるのか?“偉大なる凡人”小笠原道大という謎
2011年01月22日 (土) | 編集 |
                中村計 = 文 

 わからない選手だ。

巨人の小笠原道大のことである。

私事だが、私は小笠原と同い年だ。
小笠原も私も千葉県出身。
しかも同時期に県内の高校で野球部に所属していた。

だが私も含め、私の周りの野球仲間も当時の小笠原を
記憶している人に遭遇したことがない。

小笠原の母校である暁星国際は、
ちょうど小笠原の年代から野球に力を入れ始め、彼らが2年生のとき、
全国高校野球選手権大会の千葉大会で準優勝を果たしている。
ちょっとした番狂わせだった。

だが、のちに日産自動車を経由してヤクルトに入団したエースの
北川哲也以外の記憶は、まったくといっていいほどない。

~日本ハムに入団した時も薄かった存在感~

そのころの県内では、東京学館浦安の石井一久(西武)が
知名度では群を抜いていた。
石井は前評判通り、高校卒業と同時にドラフト1位でヤクルトに入団した。

それ以外にも県内からは、我孫子の荒井修光(早大-日本ハム)、
船橋法典の金子貴博(日本ハム)、
習志野の花島寛己(千葉ロッテ)と、
何人もの同級生がプロの門を叩いた。

当然高校時代から彼らの名前ぐらいは知っていた。

プロ野球選手になる人というのは、つまり、そういうものだと思っていた。
同時期に同地域で野球をやっていれば
最低限名前ぐらいは聞こえてくるものだ、と。

だから小笠原がNTT関東で5年間プレーしてから、
ドラフト3位で日本ハムに入った時もほとんど気にしなかった。

プロ入り3年目あたりでブレイクし始めた頃、
出身高校の「暁星国際」という表記を見てもしばらくは
誤植だと思っていたぐらいだ。
北川以外、プロに行くような選手はいなかったはずだが、と。
ひょっとしたら千葉県以外にも同名の高校があるのかもしれない
とまで考えたくらいだ。

~高校の監督が獲得をためらった程の平凡な選手~

小笠原の暁星国際時代の恩師である五島卓道は、
今は木更津総合の監督を務めている。

あるとき別の取材で会う機会があったので、
ここぞとばかりに小笠原のことについて聞いてみたことがある。

 なぜ彼はあそこまでの選手になれたのか、と。

だが、ありきたりの答えしか返ってこなかった。
当てるのはうまかったということと、練習熱心だったということ。
しかし、そんな選手はいくらでもいる。

 またこんな話も聞いた。

当初、五島は小笠原を獲得するつもりがなかったというのだ。
小笠原が中学時代に所属していたチームの練習を見に行ったとき、
本当は別の選手が目的だったのだが、
そのチームの監督から懇願されて
「内野で使えそうだから、まあいいかな」という程度の理由で
小笠原を引き受けたというのだ。
こんなエピソードで、ますます小笠原に対する謎は深まることとなった。

~小笠原本人の理由としては……「バットは振った」~

実は小笠原本人にも数年前、この長年の疑問をぶつけてみたことがある。

「高校時代、本当に1本もホームランを打ったことがないのか?」
などと幾度となく問い質してみたのだ。
そうしたら「しつこいですねえ……」と、かえって呆れられてしまった。

小笠原は、ここまでの選手になれた理由を
「バットは振った(素振り練習をした)」としか言わない。
そして「それが多いのか少ないのかは、自分ではわからない」
とつけ加える。
誠実な答えだといえばそうだ。

実際のところ、どれだけ努力したかなど比べようがないのだ。

こちらも一流のプロ野球選手を分析しようとするとき、
どこかで冷めてしまう時があるのだ。
どう解説しようとも所詮は才能なのかもしれない、と。
そして、そんな選ばれし人たちのことを軽々しく「努力でつかんだ」
などと書く方がむしろ失礼なのではないかという複雑な思いまで出てくる。

だが小笠原だけは高校時代の「無名ぶり」を知っているだけに、
努力する才能というのもあるのかもしれない、と信じたくなる。
そして、ときにそれが素晴らしい才能をも凌駕してしまうことさえ
あるのかもしれない、と。

~高校時代に本塁打0の男が偉大な記録達成へ~

高校時代に彼ぐらいの知名度しかなくとも、
プロに入った選手は他にも多くいるだろう。

でも彼はパ・リーグで本塁打王になっているのだ。

高校時代に1本もホームランを打ったことがない打者が、である。

そして今では巨人のクリーンナップにすわり、年俸4億3千万円をもらい、
あと11本で2000本安打を達成するところまで登り詰めている。
しかも今シーズン13試合以内で2000本に到達すれば
日本球界では川上哲治、長嶋茂雄につぐ3番目のスピード記録となる。

成長率の高さ、もっといえば「成り上がり度」では
過去に彼を上回る選手はいないのではないだろうか。

彼の足跡を理解しようとするとき、やはり、
どうしても「努力」という言葉が必要になってくる。

2000本まで残り11本――。
そんなことを感じながら見れば、また思いも違ってくる。


【筆者プロフィール 中村計氏】

1973年千葉県出身。
ノンフィクションライター。
某スポーツ紙を経て独立。
『Number』(文藝春秋)、『スポルティーバ』(集英社)などで執筆。
『甲子園が割れた日 松井秀喜の5連続敬遠の真実』(新潮社)で
第18回(2007年度)ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。
他に『佐賀北の夏』(ヴィレッジブックス)、
共著に『早実vs.駒大苫小牧』(朝日新書)などがある。
『雪合戦マガジン』の編集長も務める。
趣味は、落語鑑賞と、バイクと、競艇。

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コメント
この記事へのコメント
小笠原がプロ入りしたのが、23才。高卒で社会人入りして5年ですから、高校時代は身体が出来ていなかったんでしょうね。小笠原が入団した頃のパリーグは、まだ不人気でロッテ、日ハムらは、主に社会人選手を獲得していたようです。

それだけに、スカウトは、相当な眼力があったんでしょう。

ドラフト1位が、球界のエースや4番になるとは、限らない事をドラフト遊びでは、よく承知しておきたいです。
2011/01/23(Sun) 22:58 | URL  | 一花 #-[ 編集]
一花さん、返事遅れてすみませんでしたv-435
小笠原選手のように、遅咲きのスターの生い立ちなどは、
とても気になります。
選手それぞれにピークの時期はあると思います。
可能性を秘めた将来性のある選手を見つけ出すには
相当な眼力が必要(?)かもしれませんが、
小笠原選手のような
“直向きに努力する苦労人”は
応援したくなります。

2011/02/01(Tue) 21:21 | URL  | kuni28 #-[ 編集]
やっぱり、諦めない事なんでしょうけど、中々それが難しいです。

小笠原の場合、社会人での指導者に恵まれたという事なんでしょう。

2011/02/07(Mon) 20:39 | URL  | 一花 #-[ 編集]
努力
小笠原選手の努力はものすごいですね。高校時代ホームラン0本から這い上がってくるのには血のにじむような努力があったのでしょう。
ここ数年は苦しんでいますが、努力で乗り越え、もう一回レギュラーを取って活躍してほしいです。

中日からドラフト1位指名され、文武両道ということで、話題になった慶応の福谷さんもものすごい努力をしたんでしょうね。研究者、教授になれるくらいの勉強をしたかたわら、野球でも大活躍。すごい。並大抵の努力があったのでしょう。
がんばってほしいです。


サっカー界には文武両道で有名な東大卒Jリーガー久木田さんや他にも岡田武史さん、宮本恒靖さん、橋本英郎さんが文武両道で有名です。、ゴルフ界といえば思い浮かびません。


しかしゴルフ界でも、文武両道を見事に表現する学生ゴルファーがいます。いわゆるゴルフ漬けで学業軽視になりがちであった、日本の学生ゴルフ時代に新しいタイプのアスリートが現れた。

東大法学部4年の高野隆

彼は朝日杯争奪日本学生ゴルフ選手権には4回出場し、6位に入った。他にも、日本学生ゴルフ選手権3回出場、日本アマ出場、トップクラスで活躍するスーパースターです。

九州大2年の永井貴之

彼は九州ジュニアゴルフ選手権4位、国体選手にも選ばれた。日本学生ゴルフ選手権出場、文部科学大臣杯争奪全日本大学・高等学校ゴルフ対抗戦出場など全国大会の常連のスーパースターです。

和歌山県立医科大学医学部医学科1年の辻田晴也

彼は関西高等学校ゴルフ選手権2位、全国高等学校ゴルフ選手権に3回出場など全国大会の常連で、西日本医科総合体育大会2位,
関西学生秋季新人戦2位。



ぜひ、上で挙げた文武両道3羽烏にがんばってほしいです。もちろん他の選手もがんばってほしいし、日本の学生、ジュニアゴルフ界がさらにレベル アップしてしいです。

努力した者が全て報われるとは限らない。しかし、成功した者は皆、努力しているということですね。
2012/12/26(Wed) 09:07 | URL  | 努力 #-[ 編集]
千葉の高校同学年で暁星国際の試合をみて小笠原の野球センスを見出せないのは、野球人として情けない。
少なくても私の知っている同学年(金子、石井、富樫、小沢、計良などなど)は北川よりも小笠原の打撃と走塁の水準の高さに注目していましたよ。
2013/02/11(Mon) 22:25 | URL  | くにくに #-[ 編集]
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