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選手の発掘はチーム強化の第一歩。プロ野球スカウトに正当な評価を!
2010年12月16日 (木) | 編集 |
         氏原英明 = 文 

世間では一般的に知られているスカウトという存在――。

チームを強くする一番の正攻法はスカウト部門の強化である。
チームの土台を作るスタートは新人選手獲得であり、
スカウトの力量こそが、チームを強くする重大な要素になる。

 たとえば、今年の日本シリーズ。

優秀選手賞を獲得した千葉ロッテ・清田育宏、
中日・大島洋平のルーキー二人は、
ともにドラフト下位指名選手である。
誰しもがその善し悪しを判断できる上位指名選手とは違い、
下位指名選手にこそスカウトの眼力に差が出るというものだが、
彼らをリストアップしたスカウトは大きな仕事を果たしたといえる。

しかし、その割にはスカウトの功績が大きく謳われることはない。
選手が活躍すれば、時の人として取り上げられるのは、
指導したコーチであり、使い続けた監督であると言われるのがほとんどだ。
プロ野球が「プロの集団」である以上は、
スカウトという仕事も、
優勝のための不可欠な存在として認められるべきである。

 常々、思うのである。

 スカウト業の地位が向上しないものか、と。

誰もがその存在を知っていながら、
決して表に出てこないスカウトという仕事は、
もっとスポットライトを浴びるべきではないのか、と――。

~一流選手を発掘しても評価されにくいスカウトの仕事~

千葉ロッテで言えば、
'02年のドラフト1位、西岡剛の担当スカウトも大きな仕事をしている。

大阪桐蔭高時代の西岡の評価は当時で「3位程度」
というのが評判だった。
特に西岡が高校3年生の頃は、
大学4年が松坂世代に当たっていた時だった。
そういう事情もあり、
多くの球団が自由枠での大学生獲得に走ったのだが、
千葉ロッテは西岡の才能を見抜き、1位指名を断行した。

西岡のこれまでの活躍は言うまでもない。
今年は200本安打を達成し、日本一に貢献。
メジャーのポスティングにかけられるほどの選手になった。
彼の一本釣りに成功したスカウトは、
かなりの目利きだったといえる。

もちろん、一人のスカウトの力だけで指名が決まるわけではないが、
自チームの育成システムを理解し、
ウチなら伸びると評価を上げた人物の眼力には、
プロフェッショナルを感じずにはいられない。

しかし、西岡を評価したスカウトの名を、
野球ファンは知っているだろうか。

西岡に限らず、清田や大島を評価したスカウトが誰であるのか――。

知る者は業界の人間しかいない。
ここで挙げた選手たちをスカウトした人物を公表したいとも思うが、
実際には所属する球団による説明や推薦が必要になってくると思われる。

~成果を上げればGMにもなれるメジャーのスカウト~

これを、アメリカの場合を例に取ってみると具体的で面白い話がある。

メジャースカウトの話では、ある選手に対して、
サインしたスカウトの名は残っていくのだという。
たとえば、獲得した選手がオールスタープレイヤーや
サイ・ヤング賞などのタイトルを取ると、
スカウト自身の名も上がっていく。
箔が付いていくのだ。

スカウティング能力が認められ、成果を繰り返していくと、
やがてはGMという夢までつかむことができる。
もちろん、逆もあり、
「下位指名」と評価した選手が他球団で上位指名され、
オールスタープレイヤーにでもなったりするとやり玉に挙げられるのだが、
そうした仕事に対しての評価が明確にあるから、
メジャーのスカウトはやりがいを感じているのだそうだ。

「みんなで、選手を獲得する」のが日本流だが……。
とはいえ、これをそのまま日本に当てはめられるかというと
そう簡単にはいかないだろう。
ある日本球団のスカウトにこうした評価を
日本でもやらないのかと尋ねると、きつく言い返されたものだ。

「いや、そんなことをしたら、それぞれのスカウトが、
 いい選手ばっかりしか見に行かなくなって、
 スタンドプレーに走るでしょう。
 スカウティングはそういう問題ではない。
 みんなで、選手を獲得するんだから」

アメリカと日本の文化の違いを考えれば、
話を同じ土俵にあげてはいけないかもしれない。
功績に対しての評価をどう明確にしていくかは
各球団の方針によるとしても、
「スカウトの仕事はもっと評価されるべきものである」
という機運だけでも日本の野球界にあっていいのではないだろうか。

現状を変えうる手立てとしては、
毎年シーズン前に各新聞社・出版社から発行される
あの手のひらサイズの選手名鑑に、
担当したスカウトの名前を載せるという方法もある。
それを実現するためには球団の協力が必要だが、
スカウトという仕事は特別なものだという評価を
与えるためにもぜひ実現してもらいたい。

~スカウティングの正否は必ず数年後に判明する~

今年のベストナイン、各タイトルのメンバーの中には
上位指名選手だけでなく、下位指名の選手もいた。
セ・リーグの首位打者、6年連続のベストナインを獲った
ヤクルト・青木宣親は'03年のドラフト4位指名である。
この年は鳥谷敬(阪神)が目玉だったから、
多くのスカウトは鳥谷と早大の同級生・青木を見ているはずだが、
ヤクルトのスカウトはよく見抜いたといえる。

この他にも、パ・リーグの三塁手でベストナインを獲得した
小谷野栄一(日ハム)は'02年のドラフト5位、
2年連続で最優秀中継ぎ投手に輝いた攝津正(ソフトバンク)は
'08年のドラフト5位である。
また、セ・リーグの投手部門を総なめにした
広島・前田健太は順位こそ1位であるとはいえ、
当時の高校生ドラフト1位指名選手では唯一の単独指名選手だ。
田中将大(楽天)や堂上直倫(中日)、増渕竜義(ヤクルト)らに
注目が集まる中、
一本釣りを成功させたスカウトの眼力は評価されてしかるべきだ。

~チーム作りの中核を担うスカウトにより高い評価を!~

実際、現場にいると、熱心なスカウトがいる半面、
残念な話だが……だらしないスカウトがいるのも事実である。
試合をほとんど見ずに、居眠りしているか、
しゃべっているだけの人がいる。
一生懸命に仕事をこなしているスカウトが、
そういう人たちと同じような評価しかされないのはプロではない。

メディアやファンが、
あるスカウトの目利きに一目を置くようなことがあっていい、

良い仕事をしているスカウトは
美味い飯が食えるというようなことが、実際、あっていい。

 そう思うのだ。

スカウトという仕事は、
チーム作りの中で重要な役割を占めているのだから……。



【筆者プロフィール 氏原英明氏】

1977年ブラジル生まれ。
奈良大学を卒業後、地方新聞社でのアルバイト勤務を経て、
フリー活動を開始。
高校野球を中心に活動を続けるが、
野球を通じた人間性、人生観を伝え続け、
Numberのほかに野球専門誌で活躍。
WEBの世界でも「人間力×高校野球」(高校野球情報.com)
と題したコラムを連載している。

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コメント
この記事へのコメント
私も、下位指名の成否に球団の成否の目安にしています。

もう少し正確に言うと、上位は補強ポイントに忠実か、計画的かどうか。補強ポイントより好みの選手を指名するなら、補強ポイントを下位で補えているかどうか。また上位は、上位指名でないと納得しないアマの実績で上位というケースもあります。

上位が期待はずれでも、下位から出てきているかどうかで、少数精鋭が成り立ちます。

ところが、うまく補えない球団、巨人、ソフト、阪神などは、大量補強に傾斜しています。

大量補強は、ある意味、スカウトの緊張感は下がります。上位は、まず安全な有名候補、これはという選手にかける意気込みが出るだけ、深く一人の選手を調査出来ないのではないでしょうか。
2010/12/17(Fri) 23:30 | URL  | 一花 #-[ 編集]
この記事で私と見方が違うと思うのは、鳥谷と青木の比較ですね。鳥谷と青木が同じポジションで同じタイプで鳥谷を初めから指名せず青木を1位指名なら眼力ありだけど、鳥谷は自由枠、青木は下位指名です。下位指名が出て来るのは、スカウトの力だけど、下位でしか評価いていなかったわけで、それで眼力ありとは言えないと思いますね。たまたま育成も含め成功だったというわけです。それよりも、全体で上位指名で失敗しても、下位からも出てきていて、少数精鋭のチームのスカウトが最も有能かなと思いますね。

また、スカウト個人だけでなく、日常の行動方針や、選別方針、マークの方針とか。スカウト個人より全体だと思います。高校野球小僧2010春号で横浜のスカウトから日ハムのスカウトに移った岩井スカウトが、横浜との違いを一本の決め事「スカウティングと育成で勝負」と4年間同じ事を貫いているのが日ハムで驚いたそうです。横浜も基本は同じだけども日ハムほど強調しない。当時の横浜は自前主義でスカウトとコーチの入れ替えなどもあったそうです。

横浜のスカウトは、批判に晒されているけども、ほんの少しの差が、プロで通用する選手が育つか育たないかの大きな差になっているようです。
2010/12/20(Mon) 00:48 | URL  | 一花 #-[ 編集]
一花さん、分かりやすく詳しく解説して下さり、
ありがとうございました。
一花さんの見解には、いつも納得させられます。
他の人とは全く違う角度で、そして豊富な情報量の中から毎回、
詳しくブログでも紹介していて(プロ野球戦略にて)
スカウト以上の眼力があるのではないかと
私は思います。

これからも一花さんの多角的な視点や、
独自の情報を私も読んで勉強させて頂きます。

いつもありがとうございます。
2010/12/22(Wed) 20:56 | URL  | kuni28 #-[ 編集]
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