日々様々なスポーツ界での出来事や、気になった記事を取り上げ考えていくブログです。
スポンサーサイト
--年--月--日 (--) | 編集 |
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
クルーン“大喧嘩”騒動の真相。忍耐強い野球選手がキレてしまうとき
2010年10月11日 (月) | 編集 |
                鷲田康 = 文 


スティーブン・スレーターという名前を聞いて、
ピンとくる人は相当な海外時事ネタ通だろう。

この男性はアメリカの航空会社の客室乗務員だったが、
ベルト着用サインが消えないうちに荷物を降ろそうとした女性客に
注意をしたところ無視され、
しかも落ちてきた荷物が頭を直撃。
謝罪を求めたが、逆にこの女性客からののしられてプチっときてしまった。
機内アナウンスで
「この仕事を28年やってきたが、もうたくさんだ! 以上」と宣言して、
缶ビール一本をつかむと脱出用シューターを作動させて機外に。
そのまま駐車場に停めてあった車で自宅に帰ってしまった。

その後、一度は警察に逮捕されたが、
釈放後はネットなどで同情を集めて、一躍ヒーローとなったという。

人間、ひょんなことでスイッチが入ってしまうことは、
ままあるものだ。
ただ、どこでそのスイッチが入るのか? 
他の人にとっては、思わぬことがきっかけになることもある。

~クルーンが観客と大喧嘩、騒然となったナゴヤドーム~

巨人のマーク・クルーン投手も、
思わぬことでスイッチが入ってしまった。

ナゴヤドームで行われた8月18日の中日戦。
練習中に観客と大喧嘩をして、一時、球場が騒然となったという。

「唾を吐きかけられた!」

 激怒の理由はこうだった。

試合前の練習中に三塁側スタンド前でファンにサインをしていたところ、
60~70代の男性ファンからヤジを飛ばされ、
唾を吐きかけられた、と激高。
そのファンに詰め寄り大騒ぎとなった。

男性は「入れ歯がはずれただけだ」と
唾を吐きかけたことは否定したが、
最終的には関係者が間に入っておさめ、
その男性ファンも球場関係者に事情聴取を受けるはめになったという。

クルーンはマウンド上ではちょっとエキセントリックなところはあるが、
普段はいたって落ち着いた選手だ。

「オレは甲子園の阪神戦が大好きだ。
 あんなにエキサイティングな球場はないよ」

~阪神ファンの過激なヤジや挑発にも「逆に燃えるね」~

クルーンは言う。

「ブルペンで投げていると、
 阪神ファンからものすごいヤジが飛んでくる。
 “バカ、ガ~イジン! バカ、ガ~イジン!”ってね。
 それで中身の入ったペットボトルとかが投げ込まれたりするけど、
 オレは逆に燃えるね。
 メジャーを思わせるエキサティングな雰囲気がある。
 その雰囲気がオレは好きなんだよ」

阪神ファンの過激なヤジをもこうやって受け入れている。
ペットボトルのジュースを浴びても、気にも止めない。

でも、そんなクルーンでも、
目の前で唾を吐きかけられたら、さすがにスイッチが入ったのだ。

スティーブン・スレーターさんも、
客室乗務員を28年間勤め(正確には20年間なのだが)、
プロとしての訓練も受けている。
ああいうトラブルの際にも、おそらくとても忍耐強い人物だったのでは、
と想像もする。

 実は野球選手も、非常に忍耐強いものなのだ。

クルーンが話していたように、
相手ファンからは厳しいヤジを浴びることも多い。
ものが飛んでくることもある。
メディアには批判され、プライベートを探られることもある。
そういう様々なことに対して、選手たちは忍耐強く我慢して、受け流し、
気にも止めないように努力しているのだ。

~お金さえ払えば、選手に何をやってもいいわけではない~

今回の事件で、そのファンが巨人ファンだったのか、
中日ファンだったのかは分からない。
実際に唾を吐きかけたのかどうかも水掛け論になるだけだろう。
ただ、選手にとって一番堪えるのは、
味方だと思っているファンに心ないことを言われたり、
そういう侮蔑的な行為をされた、と感じたときなのだ。

 決して「お客様は神様」ではない。

お金を払って入場したら、選手に何をやってもいいわけではない。

そこには一定のルールがあり、マナーもある。
外国人選手だから日本語が分からないと、
とんでもないことを言うファンもいるが、
彼らはそういう言葉は知っているし、心も痛むのだ。
そういうルールやマナーを守れないファンは、
もはや球場で観戦する資格はない。

スレーターさんと言い争った女性乗客は、
実は搭乗前にも別の乗客と荷物の置き方を巡って口論となり、
それをスレーターさんが仲裁していたのだという。

スレーターさんやクルーンが怒りに任せてとった行動を、
筆者は決して責めようとは思わない。


【筆者プロフィール 鷲田康氏】

1957年埼玉県生まれ。
慶應義塾大学卒業後、報知新聞社入社。
およそ10年にわたり読売ジャイアンツ取材に携わった。
2003年に独立。
日米を問わず野球の面白さを現場から伝え続け、
Numberほか雑誌・新聞で活躍。
著書に『僕のメジャー日記 松井秀喜』(文藝春秋)、
『ホームラン術』(文春新書)がある。

スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック