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田中将大、斎藤佑樹、ストラスバーグ。投球回数に現れる若手育成法の違い
2010年09月22日 (水) | 編集 |
              生島淳 = 文 

今年の秋はドラフトの「豊作年」と言われている。
特に高校のときから「斎藤・田中世代」と言われた1988年、
1989年生まれの選手たちには
日本のプロ野球を背負って立っていって欲しい。

実はこのコラムを書くにあたって調べ物をしていたら、
今季メジャーリーグに昇格し、
話題をさらっている超大物ルーキー、
スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)も
「斎藤・田中世代」と同級生なのだということが分かった。

偶然の一致を発見したわけだが、
そこでストラスバーグ、斎藤、田中の高校を卒業してからの
育ち方を投球回数をもとに調べてみた。

投球回数は指導者の投手の育て方の発想が如実に表れるスタッツだ。

 2007年   2008年   2009年   2010年 
 ストラスバーグ   37   109.1   109   98.2 
 斎藤佑樹   116.2   143.1   98.1   41 
 田中将大   186.1   172.2   189.2   124 

参考  1999年   2000年   2001年   2002年 
 松坂大輔   180   167.2   240.1   73.1 
※ ストラスバーグは北京五輪含む
※ 斎藤佑樹は六大学リーグ戦に加え、全国大会、日米大学野球を含む


ストラスバーグはサンディエゴ州立大で3年間プレーしたが、
1年生のときの投球回数は37回にしか過ぎない。
これは大学の監督が1年生にはあまり無理をさせず、
リリーフで使っていくという方針を立てていたためである
(アメリカの大学ではプロと同じように先発とリリーフは分業制だ)。

ストラスバーグもブルペンから1回のみの登板が多く、
2年生になって先発に転向するが、
北京五輪での2度の登板を含めてようやく100イニングを超えてくる。
そして3年生になってもほぼ同じような投球回数だが、
このころからストラスバーグはメジャークラスの実力を
持っていることを証明し始め、
109イニングの登板で195個の三振を奪い、
ドラフト1位指名は間違いなしと言われるようになっていた。

アメリカの大学の監督は、
優秀な選手を預かるとプロに送り出すまでに大事に育てる。
体をプロに向けて準備し、消耗しないように気を配る。
それが監督の評価にもつながる。

~早稲田大学のエースとして多投する斎藤の肩の負担は?~

 では早稲田大学に進んだ斎藤はどうだったか? 

日本は春・秋の2シーズン制、
しかも練習での投球数も違うから単純な比較はできないが、
斎藤は1年の春から先発を任されたため、
1、2年時の投球回数がストラスバーグに比べると多い。
斎藤の場合は人気が先行した面があり、
それが投球回数の増加につながってしまった。

さらに肩の保護の観点から言えば、
東京六大学野球は第3戦に決着がもつれ込んだ場合、
斎藤のようなエースは土曜に投げ、
中1日で月曜に投げるパターンが多い。

かつて法政大学で通算47勝をマークした江川卓氏は、
土曜日に投げて負けると日曜、そして月曜と3連投していたことがあった。
プロで息の長い活躍ができなかったのは、
大学時代の連投の影響もあったのではないか……といまも思う。
大学に進んだ場合、
こういった連投が後々になって影響を及ぼしていることが十分考えられるのだ。

~投球回数の多さで群を抜く田中は投げすぎかも?~

そして高校から直接プロに進んだ田中の場合、
プロ1年目から期待され、
しかも実績を残してきただけにストラスバーグ、斎藤と比べると
圧倒的に投球回数が多い。
もちろん、日本はアメリカと違って先発投手の登板間隔が長く、
一概には比較できないのは承知している。

アメリカでは近年になって、
「若手投手の投球回数は前年比およそ2割増まで」という線引きが
常識になりつつある。
その観点から見ると、田中はプロ1年目にしてはあまりにも
投げすぎたのではないか……という不安を持たざるを得ない。

今年の7月には太ももの裏を痛めて登録抹消されたが、
ひょっとするとプロに入ってからの疲労の蓄積も
あったのではないかと勘繰りたくもなる。

参考までに松坂大輔が高校を卒業してからどれくらい
西武で投げたかを調べてみた。
1、2年目は田中とほぼ同じ投球回数だが、
3年目に240イニングを投げているのを見ると、
大車輪の活躍をしたことがうかがえる。
その反動からか4年目には故障で73.1イニングしか投げられなかった。
メジャーに移ってから、
信頼できる先発投手の目安とも言われる年間200イニングを超えたのは
2007年の一度だけである。

田中にはぜひとも長く活躍してもらいたいだけに、
10代での投球回数が今後、キャリアに響かないことを祈りたい。

~“財産”と“選手寿命”のためにも投球回数制限は必要。~

アメリカで投球回数制限が叫ばれるようになったのは、
若いときに酷使された投手が早々に引退へ追い込まれるケースが
過去多くあったからだともいえる。
財産である選手を長持ちさせたいという球団側の思いと、
長く現役を続けたいという選手側の思いが一致したということでもある。

しかし日本では、まだまだ投球回数制限や連投に対する意識が
アメリカに比べると低い。
そうした「評価基準」がないからだろう。

アメリカでは、酷使傾向を持つ監督は批判の対象だ。
批評があって、現場が動いたのである。

日本でもそうした視点があってもいいのではないか――
それが一流選手を長い間楽しめることにつながると思い、
このコラムに気持ちを託してみた。

いつか、斎藤や田中がワールド・ベースボール・クラシックなどの大会で
ストラスバーグと対戦する日が来るかもしれない。
その時、3人が健やかな状態で投げ合うことを祈ってやまない。


【筆者プロフィール 生島淳氏】

1967年気仙沼生まれ。早大卒。
NBAやMLBなど海外ものから、国内のラグビー、駅伝、野球など、
全ジャンルでスポーツを追うジャーナリスト。
小林信彦とD・ハルバースタムを愛する米国大統領マニアにして、
カーリングが趣味(最近は歌舞伎に夢中)。

著書に『慶応ラグビー「百年の歓喜」』(文藝春秋)、
『大国アメリカはスポーツで動く』(新潮社)、
『監督と大学駅伝』(日刊スポーツ出版社)など。
『BSベストスポーツ』(NHK・BS1毎週日曜21:10~)、
『生島淳のアクティブスタイル』(TBSラジオ毎週日曜正午~)
にも出演中。

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コメント
この記事へのコメント
これまた、私は違うと思いますね。人それぞれ違いますからね。ストラスバーグは、あの体格ですから当然体が出来上がるまで時間を要しているはずです。今年の日本の高校生ドラフト候補・浦和学院の南投手は197センチの長身で、浦和学院の監督は野球小僧最新号で次のようにコメントしています。「正直、高校3年間では到底伸ばしきれないだろう、その後に進む道でさらに成長する橋渡しが出来ればと思った。時間がかかる選手に最初から負荷を与えるとつぶれる。最初の1年は放牧・・・」とコメントしています。

早大の斎藤が、投げすぎというのも当たらないと思います。早大監督は、1年時から6回程度で交代させてます。時々完投がある程度です。

日本のプロは中5日から6日が原則で、中4日のメジャーとは負担の内容が違います。

また肩の負担は、投げるボールの球種や体重移動、つまり股関節の柔らかさ、肩の筋肉、骨質など様々な要因がからみます。

ですから、記事の内容の見方は、表面的な一面にすぎませんね。
2010/09/22(Wed) 23:01 | URL  | 一花 #-[ 編集]
一花さん ありがとうございます。
様々な見解があると思います。
一花さんの膨大な情報から得られた中での意見
いつも参考になります。


2010/09/23(Thu) 15:39 | URL  | kuni28 #-[ 編集]
そんなに情報量は大した事ないと思いますが、これは違うと感じただけです。

どう感じ取るか、人それぞれと言えばそれまでですが、おかしい事はおかしいですよ。
2010/09/24(Fri) 19:33 | URL  | 一花 #-[ 編集]
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