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7年7つのイチローShort Story(3)
2007年11月25日 (日) | 編集 |
 ≪2005年 徹底したルーティン≫
  ―サンフランシスコで珍しくイチローが見せた狼狽(ろうばい)―

 イチローが狼狽していた。
 あれほど慌てふためいたイチローを見たのは初めてだった。
 2005年の開幕直後、サンフランシスコへの遠征に
 出た時のことだ。
 イチローには遠征先での試合前の昼食、試合後の夕食
 ともに行きつけの店があり、必ずそこで食事をする。
 サンフランシスコでの昼食は決まったイタリアン・レストランに
 出向いて、毎回、チーズピザを頼む。
 その日もイチローはいつものようにホテルを出て、
 ブラブラと歩き始めた。
 ところが、ずいぶん歩いたのにその店が見つからない。
 『あれ、行き過ぎたかな』
 すぐに引き返したが、やはり店はない。
 よくよく確かめてみると、あったはずの場所にはガランとした
 空き店舗が残されていた。
 店が潰れていたのだ。
 じゃあ、隣の店に、というほどコトは容易ではない。
 イチローにとって、食事は体のためというより、
 心のために重要なファクターなのだ。
 どこでもいい、というわけにはいかない。
  

 とはいえ、試合前に新しい店を探すほどの時間はなかった。
 イチローのルーティンは、試合開始の時間から逆算して
 緻密に組み立てられている。
 決まった時間までに昼食を終えられなければ、
 球場に入るのも遅れ、予定していた準備をこなせなくなる。
 だからイチローは狼狽した。
  

 そんなことで、と笑われるかもしれない。  
 しかし、イチローがこれほどのペースで
 ヒットを量産できるのは、
 “そんなこと”にこだわって、緻密な準備を積み重ねて
 きたからだ。
  
 シーズン中には常に試合開始の時間から逆算して、
 生活のリズムを作る。
 その結果、余計な気負いもプレッシャーも感じる事無く、
 “普通”の状態でグラウンドに立つことができる。
 そのために、決まったお店で昼食をとることは、
 イチローにとっては大事なことなのだ。

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