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中田翔の激変ぶりをキャンプで検証。ホームラン・アーチストへ覚醒か?
2011年03月01日 (火) | 編集 |
            氏原英明 = 文
 

もはや、活躍するしないの領域で彼を論じてはいけないのかもしれない。

右打席から放たれるその日本人離れした打球、
練習に対する姿勢、取材の受け答え。
どれをとっても、一流の風格が出てきた。

 プロ4年目、日ハム・中田翔のことである。

これまでも、何度も中田のことは取り上げてきた。
ただそれは、期待感に近いものがあったのも、また事実である。
高校通算本塁打記録を塗り替えた男には、プロの舞台で、
なんとかモノになって欲しいという願いが先行していた感があった。

しかし、その期待感が確信に変わりつつある。
現場で得た様々な証言からも、
彼の一挙手一投足にさえ一目置かれ始めているのが分かった。

 ある番記者がこう話していた。

「とにかく練習する。球場から出てくるのはいつも最後だし、
 休日も休まない。発言も大人になりましたよね。
 すごいよ、今年の中田は。打球が、パワーが、違います」

~中田翔と斎藤佑樹のプロ初対決は意外なまでに平静だった~

春季キャンプ第3クール初日。
この日は、中田翔vs.斎藤佑樹の勝負が実現するとあって、
メディアの注目を集めていた。
'06年夏の甲子園の2回戦、優勝候補筆頭の大阪桐蔭高にあって、
2年生にして4番を任され人気急上昇中だった中田。
その中田を3三振に切ってとり甲子園から去らせた投手こそ、
当時はまだ無名に近い存在の斎藤だった。
いわば斎藤佑樹の未来を変えた試合で、
かませ犬になったのが中田だったのだ。
あの時、斎藤が中田に対して見せた投球術は、
以後の彼のピッチングを本物にした。

そんな彼らが対戦するとなれば、マスコミが注目するのも、無理はない。
だが、この対決には、メディアが騒ぐほどの熾烈な様相はなかった。
紅白戦でもなければ、シート打撃でもない、
フリーバッティングであいまみえた二人の対戦は、斎藤は
「ストライクを投げようと思った」だけだったし、中田にしても、
「斎藤さんが相手とか関係なく、自分がこれまで練習してきたことを、
 しっかり確認したかった」という程度のものだった。

~ホームラン・アーチストとしての本領を斎藤に見せつけた~

結果は、報道されているように、中田が7発の本塁打を放った。

7本のうち5本がセンターから右方向へのものだった。
斎藤がアウトローを中心に外角に投げていたとはいえ、
それを力で無理矢理引っ張り込もうともしない。
また、球に合わせての右方向への打球を特に意識している訳でもなく、
自然と飛ばしているのだ。
その見事な技術に、中田の凄まじい成長の証を見る思いがした。

往年の落合博満や広沢克実、
近いところでいえば中村剛也(西武)が放つ、
右投げ右打ちのホームラン・アーチスト特有の右方向に
ぐんぐん伸びていく打球が、
今の中田の打棒から放たれるようになっていたのだ。

練習後のコメントでも中田は「風もあった」として
自身の力だけの本塁打ではないと頬を緩ませることさえしなかった。
だが実際は、打たれた斎藤にして
「さすがはプロの選手。右方向へ大きいのを打つ」と
感嘆させたほどの力強い打球だったのである。

~「今年は全く違う。俺は信じるよ」と梨田監督~

間違ってはいけないのは、
中田が変わった点は技術だけではないということだ。

「オフに入ってから、右方向に打てるようになろうと思って、
 そのことを考えて振ってきました」
という彼なりの技術的なアプローチが成果を上げているのは確かではある。
だが、そうした技術面よりも、
野球に対して取り組む姿勢そのものが激変したということが重要なのだ。

プロ入り1年目の時のような軽口を叩く様子もないし、
何より練習での真剣味がまったく違う。

 最近の中田については、梨田監督の評価も上々である。

「取り組みがいいよね。練習をよくするのもそうだけど、
 練習は多くすれば良いってもんじゃない……
 中田の場合は、練習の中でおかしいと思ったことに対して、
 もう一度確認したり、分からないときは、コーチに聞いたりしている。
 自分で気付いてやろうとしている。
 去年も今頃は調子良かったけど、今年は全く違う。
 俺は(中田を)信じるよ」

~落ちているボールを拾い集める姿に人間的な成長が現れていた~

とはいえ、取り組む姿勢や右方向への強烈な打球まで備えた
素晴らしい打棒も、振り返ってみると去年から伏線はあったのだ。

昨シーズンの中盤、
彼がプロ初本塁打から続けざまにアーチを量産し始めた頃のこと。
取材していて特に感心したのは、
技術的な成長よりもむしろ練習での態度の方だった。

試合前、守備練習から三塁ベンチに引き揚げる際、
ゲージ下に落ちていたボールをひとつずつ丁寧に拾いあげていた中田の姿。
これまでの彼では絶対に考えられない光景だった。
この春のキャンプでも、グラウンドに無造作に転がっているボールを
そのまま残して練習を引き上げるような選手ではないことを、
再び確認した。

このキャンプ、中田は
「隙を見せたくない」
とたびたび口にしている。

1球も無駄にしない……
落ちているボールさえ見過ごさないという、
野球に対する極端なまでに真摯な姿勢が、
別人かと見まごうほど中田を人間的に成長させていたのだ。

そんな少しずつの「変化」が積み重なって、
このキャンプ、中田は大きな飛躍を果たそうとしている。

「これまでならホームランじゃなかった打球も右方向に
 (ホームランとして)打てるようになった。
 左方向のホームランも、今までだったら、
 開いて打っているだけだったのが、
 ひじを畳んで、回転して打てたので、手ごたえ的にも良かったです」

斎藤との対戦があった直後、
笑みをこぼすでもなくまっすぐ前を向いたまま淡々と中田はコメントしている。


~ダルビッシュの領域まで、いかに近づけるか?~

初の対外試合となった広島との練習試合では、
2打席連続本塁打を放つ活躍を見せた中田。
試合後のコメントでは
「ホームランを打てたことは嬉しいんですけど、
 ヒットを打てた・打てないは別にして、
 やろうとしてきたことができない打席があった」と猛省していた。
今の中田は、結果だけが重要という価値観を越えているのだ。

もはや、彼が活躍するしないのレベルで論議するのは
ナンセンスである。

これから彼が目指すべきは、
今の取り組み姿勢をさらに深めていき、
アスリートとしての最終目標をどこまで高くしていけるか、
ということなのだろう。

オフの間に劇的な肉体改造を試み、
野球に対してどこまでもストイックな姿勢を貫いている、
今や誰もがその名を挙げる日ハムのあの選手のように……。

 そうダルビッシュの領域にまでたどり着けるかどうか。

 今後の中田への関心は、むしろ、そっちにある。

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“ホームラン・アーチスト”中田翔。劇的に進化した新打法を検証する!
2010年09月03日 (金) | 編集 |
                田口元義 = 文 

「覚醒」と見るべきか。「進化」と捉えるべきか。

8月8日時点で4戦連発、11試合で8本塁打とアーチを量産する
日本ハムの中田翔に対して、「覚醒」という言葉は的確なのか。
いや、高校時代に当時の通算本塁打記録を塗り替え、
昨年はファームの本塁打記録を更新していることから、
すでに長距離打者の資質が備わっていることは周知の事実。
“ホームラン・アーチスト”中田翔を語るのであれば、
やはり「進化」が正しい表現になるだろう。

中田の大きな進化として、真っ先に打撃フォームが挙げられる。
昨年から今年の開幕直後まではグリップを下げ、
全身を使って力に任せたスイングをするイメージがあったが、
7月に一軍復帰を果たしてからは、
以前よりもグリップの位置を高くし、
軸足となる右足に体重を乗せるという新たな形にたどり着いた。

~その新打法は、中田にしかできない卓越した技術だった~

このフォームがもたらした効果は絶大だった。
軸足に意識を集中することで、ボールを十分に引きつけられ、
どんな球種にも幅広く対応できるようになった。
それは、本塁打についての中田のコメントからも窺える。

「(3打席目は)変化球が2球続いたので、
 速いボールが来るという考えはあった」(7月27日、オリックス戦)

「(凡退だった2打席目までは)真っ直ぐを見せ球にして
 変化球で打ち取られていたので、変化球を待っていた」
(8月4日、ソフトバンク戦)

「(3打席目は)打ち方は崩れていたけど、
 (下半身で)粘りながら打てたというのは大きい」
(8月7日、楽天戦)

とはいえ、オリックス・T-岡田の「ノーステップ打法」が
十分なパワーが備わっていないと効力を発揮しないのと同じように、
中田の“新打法”も彼だからこそ成り立つものなのだ。

「中田のスイングスピードは、
 今のプロの打者のなかでも3本の指に入るくらい速い。
 もう少し、タイミングの取り方を覚えれば
 ホームランは増えていくと思う」

これは、シーズン開幕前に立浪和義氏が解説してくれたものだが、
その「もう少し」が、今のフォームになって改善され、
卓越したスイングスピードによって、多少、
タイミングを外されてもボールをミートすることができるようになった。

~田中将大との名勝負で出た凡打に見る成長の証とは?~

今、中田の打撃への関心は本塁打に集まっているが、
実は凡打にも進化が現れている。

例を挙げると、スポーツ新聞紙上で「平成の名勝負」と
大きく取り上げられた、8月8日の楽天・田中将大との対戦。
その2打席目がそうだった。

初球の高めに浮いたスライダーを強振したが、
つまらされてファーストフライ。
打ち上げた直後の中田の悔しがりようを見ても、
明らかなミスショットだったであろう。

しかし、つまるまでボールをよく引きつけて見たことが、
むしろ、中田が成長した証なのだ。

 なぜ、打球がつまることが成長なのか? 


~内川聖一も鉄平も、つまった打球を認めて成長した!~ 

球界を代表するふたりの打者が、
そのことについて説明してくれたことがある。

「首位打者になる前年までは、
 泳がされてもバットに当てることが長所だと思っていたんですが、
 それをコーチから『一番脆い形だ』と言われてから、
 つまらされてもボールを呼び込んで打つ意識に切り替わりました」

そう話す横浜の内川聖一は、つまることと向き合ったことで、
'08年に右打者最高打率をマークし、首位打者に輝いた。

 楽天の鉄平も、つまる打球を認めた打者のひとりだった。

「バッターって、
 できることなら打球がつまることを避けたいものなんです。
 でも、どうしてもそうなってしまう打席はあるわけで。
 ならば、それを受け入れることでバッティングに
 幅が生まれるんじゃないかと」

彼もまた、不利な打撃を逆に利用したことで、
'09年に首位打者となった。

手元までボールを引き付けて打つ今のフォームは、
体が泳がされて打つことが多かった以前よりも、
つまることが多くなるかもしれない。
しかし、それを受け入れた上でバットをしっかりと振り抜きさえすれば、
天性のパワーとスイングスピードを兼ね備える中田だけに、
内野の頭など軽々と越えられる。

実際、その形ができているからこそ、
故障で戦線を離脱するまでの打率が1割9分5厘(41打数8安打)に対し、
復帰後の打率が3割7分2厘(43打数16安打。8月8日現在)と、
数字にも成果が表れているわけだ。

~エース級をことごとく打ち崩し、新人王奪取なるか!?~

オリックス・金子千尋、西武・涌井秀章、ソフトバンク・和田毅、
そして田中と、相手チームのエース格を
ことごとく打ち崩していることから、周囲は「中田は本物だ」と、
ようやく実力を認めた節がある。

今のところパ・リーグには、絶対的な新人王の有力候補がいない。
だからこそ、同タイトルの資格を持つ中田だけに、
もしかしたら……と期待をしてみたくもなる。

世代を代表するアーチストだけに、
せめてそれくらいの実績は残してほしいものだ。
プロ野球の未来のためにも。


【筆者プロフィール 田口元義氏】

1977年福島県生まれ。元高校球児(3年間補欠)。
ライフスタイル誌の編集を経て2003年にフリーとなる。
Numberほか雑誌を中心に活動。
試合やインタビューを通じてアスリートの魂(ソウル)を
感じられる瞬間がたまらない。
共著に「戦力外通告 プロ野球をクビになった男たち」、
同「諦めない男たち」などがある。

巨人・大田泰示と日ハム・中田翔。“記憶に残る三振”でレギュラーに!
2010年01月14日 (木) | 編集 |
                    田口元義 = 文  


大学時代に「アマチュア屈指の打者」と呼ばれ卒業後にプロ入りしたが、
持ち味を発揮できずに戦力外通告を受けたプロ野球選手がいた。

その彼が以前、
「自分がプロで通用しなかった理由」について、
実に興味深いことを話してくれた。

「見逃し三振なんですよね。チャンスはもらっていたんです。
 でも、大事な場面でそれをしてしまった。
 プロは印象も大事なんですよ。
 監督、コーチに見逃し三振の印象を与えてしまうことは、
 ダメなレッテルを貼られたのと同じこと」

それを痛感したのが、所属していたダイエー(現ソフトバンク)
で受けた王貞治監督からの叱責だった。

「ボールはプロの世界では『お金』だ。
 目の前に飛んでくるお金(ボール)を、
 お前は取ろう(打とう)ともしなかった。
 それではある意味、プロ失格だ」


~豪快な空振りで存在感を示した大田泰示と中田翔~  

アマチュア時代にスラッガーとして注目を浴び、
十分な実績を残したとはいえ、
プロでも打撃で一流になれるとは限らない。
しかも入団1、2年目はそうそうチャンスを与えられるものではないため、
数少ない機会で首脳陣に評価され、
レギュラーとなるのは容易ではない。

だが、たとえ安打にならなくとも打席でアピールする術がある。
プロをクビになった彼や王監督の言葉を借りれば、それが空振り。
付け加えれば、中途半端なものではなく
「豪快な」となれば申し分ない。

昨年、それを印象的な場面で体現してくれた打者がふたりいた。

 巨人の大田泰示と日本ハムの中田翔だ。


~小さく当てるぐらいなら、語り継がれる三振を~  

大田はプロ初打席で豪快な空振り三振を記録している。
「『絶対にバットを振ろう』とだけは思っていました」と、
後に本人が語っていたが、
押し潰されそうな重圧のなか思惑どおりに
身体を反応させることは実に難しい。
一軍ではこの1打席のみだったが、
「これからも臆することなく、打席では積極的にバットを振っていきたい」
と自信を持つことができ、ファームではクリーンナップに定着。
イースタンリーグ3位の17本塁打を放ち、2年目に大きな弾みをつけた。

念願の一軍デビューを飾った中田は、
日本シリーズ第3戦に最後の打者として登場し、
シリーズ初打席を経験した。
結果はカウント2-2からの高めのボール球を空振り三振。
体勢が崩れるほど豪快なものだった。
チームも敗色濃厚だっただけに、
バットにちょこんと当てただけの安打よりもかえって印象深い打席となった。
試合後に本人は、
「ボール球に手を出すようじゃまだ甘い」と反省したが、
梨田昌孝監督は
「いいスイングをしていた。今後に生きると思う」
と彼の積極性を評価している。

若い時期はチームにとって重要な試合で起用される場面は少ない。
そのため首脳陣は、
「結果」よりも「姿勢」で実力を判断することだってあるのだ。

かつて、長嶋茂雄がデビュー戦で国鉄の金田正一から食らった
4打席連続三振は、全て空振りだった。
ふたりはスターになれる素質が十分にある。
いつか、「そういえばあのときも」
とファンに語られるような打者になるためにも、
前述した三振の姿勢を貫き通して欲しい。


~レギュラー獲りに欠かせないのは安定した守備力~

とはいえ、豪快な空振りをし続けていればレギュラーになれるわけでもない。
打撃とはあくまでもセールスポイント。
それだけなら代打要員で終わってしまう可能性だってある。


~現段階でふたりに共通して言える最大の課題は守備だ~

昨年、大田本人に「今の課題は?」と尋ねると、
「今の自分に必要なのは守りを安定させること」とそれを自覚していた。

「坂本(勇人)さんがレギュラーでやっていけているのは、
 バッティングはもちろん守備がうまいからなんです。
 エラーでの失点が一番チームに迷惑をかけてしまう。
 だから守りは、
 若い今のうちから意識して練習しないといけないと思っています」

年明けのスポーツ新聞の報道によると、
打球の速さに対応するべくポケットの深いグローブを新調するなど、
守備力向上に余念がない。意識は十分に高いようだ。  


~スレッジ退団でチャンス到来の中田は走塁にも課題が~

1年目から守備に疑問符がついている中田には今季、
チャンスが巡ってきそうだ。
これまでは内野手だったが、スレッジが退団したことで
レフトを任される可能性が浮上してきた。
干支にちなんで“虎柄”の髪型で登場し、周囲の失笑を買ったにせよ、
「外野でレギュラーを取るために頑張る」と、
成人式に出席せず自主トレに励むなど意気込みが感じられる。
ただ、彼の場合は昨年のプロ野球対大学選抜との試合が象徴するように、
お粗末な走塁もどうにかしたいところだが……。

大田、中田は若いが、「スター候補生」と呼ばれるだけに、
他の若手より「候補」というテスト期間は短い、
と捉えて研鑽を積んでいかなければならない。

2年目と3年目。
持ち味である豪快なスイングでアピールしながら、
課題の守備で首脳陣の信頼を勝ち取れるか? 
本当のスターになるために、さらなる飛躍を誓ってもらいたい。

日本シリーズ2三振の中田翔に、来シーズン爆発の予兆を見た!
2009年11月12日 (木) | 編集 |
                            氏原英明 = 文  


日本シリーズ第3戦。
代打で出場した中田翔が最後のバッターになった。

 三振だった。

 日本シリーズ第4戦。二日続けて中田は代打で出場した。

 また三振だった。

一軍にはまだ早い。
ましてや、日本シリーズの大舞台など、踏むべき選手ではない。
そんな声が聞こえてきそうだった。
確かに、三振という結果だけで彼を評価すれば、
そう思うのは当然だろう。

 しかし、鳥肌が立った。
 
なぜなら、あまりに変貌した中田を見たからだ。
今年のレギュラーシーズンで記録した
15の三振と同じには思えなかったのだ。

定まらなかったグリップの位置を、
意識的に固定させてから投手を向いて、どっしりと構える。
ストレートに詰まることを怖れず、
なおかつ外角のスライダーに対応する。
これほどまでに中田は成長を遂げていたのか……。
 
改めて、中田ほどバッティングフォームが様変わりしてきた選手は
いないと思う。
いや、様変わりではない、
バージョンアップといった方がいいかもしれない。
高校時代から思い返してみても、時を経るほどに、
中田はそのバッティングの形を変え、成長してきたのだ。

~高校1年時のバッティングは「ピッチングのついで」だった。~

高校1年夏、
甲子園の左中間スタンドに特大の本塁打を叩きこんだ
中田のバッティングフォームは自由気ままだった。
オープンスタンスで構え、
スイングは右肩を下げバットが出しやすいアッパー気味。
技術的な意識の感じられない気ままなフォームだった。

当時、中田は投手。
登板がない時は内野を守ったが、
彼が持っていたのは投手としての意識で
「投手として目立ちたい」と、当時の中田はよく言っていたものである。

その意識はMAX151kmを計測した高校2年春になっても
変わることはなかった。
高校生としては高水準のクイック、素早いけん制やフィールディングなど、
高校生投手としてトップレベルにいた中田にとって、
バッティングは「ピッチングのついで」でしかなかった。

それがこの春の間に右ひじを故障すると、
中田はバッティングへ真剣に取り組むようになり、
フォームへの意識を強く持つようになった。
高校2年夏、大阪府大会で4試合連続5本塁打の記録を引っ提げて、
甲子園に出場。
1回戦の横浜戦ではセンターバックスクリーン横に飛び込む
特大の本塁打を放った。

この時、中田のバッティングフォームは
左足を大きく上げるフォーム。
右足に体重を乗せて、
力を蓄えボールにぶつけて飛ばすというものだったが、
このリスキーなフォームは2回戦の早実・斎藤佑樹の
研ぎ澄まされた投球術によって欠点が浮き彫りになった。

~斎藤佑樹に敗れフォームを改造し、高校通算HR記録を樹立。~

そこから、中田はフォームの見直しを繰り返した。
2年秋から3年春にかけてスリ足に変え、
オープンスタンスもやめた。
結果が出始めたのに、夏にかけてまたスリ足を一本足に戻した。
「スリ足にしていたのは体が前に突っ込むからなんです。
 でも、今は、一本足にしても前にいかなくなった。
 遠くへ飛ばせるのは一本足なので、
 こっちに変えました」と中田はさらなる上へ目指した。

同年7月5日、中田は高校通算本塁打記録となる87本塁打を樹立。
フォームの改造を繰り返し、
さらにはメディアからの期待やプレッシャーを乗り越えての、
偉業達成だった。
最後の夏は甲子園出場を果たせなかったものの、
それまで繰り返してきたフォームへの取り組みが、
彼の大きな糧となった。



~プロ入りしてフォーム改造。手首の故障に悩んだ1年目。~  

プロに入り初めてのシーズンを迎えた中田は
春季キャンプで一軍入りを果たす。
そしてここでも中田は、高校時代からのフォームを変える荒業に出る。
閉じていた左足をオープンスタンスへと戻した。
キャンプ中、その変遷について、中田はこう話していた。

「高校1年の時のフォームと3年の時とを見て、
 シャープさがないなと。
 それで、ちょっとオープンにしてみようかなと思ったんです」

結局、それは一時的なものでしかなく、
また本来のスタンスへ戻すことになるのだが、
通過点としては歩むべきものだったのかもしれない。
1年目は手首の故障もあり、不本意なままに終えた。

~二軍で本塁打&打点を量産するが、一軍では活躍できず。~

そして、今シーズン、
オープン戦からの不調で開幕を二軍で迎えたあと、
中田は二軍で本塁打と打点を量産、一軍へ昇格した。
すると、また中田のフォームは違うものになっていた。
足はほんの少し開き気味で、グリップを極端に下げる。
ステップは一本足ではなく、1年前から続けているすり足。
上体の力みが消えたリラックスしたフォームになっていた。

要因は下げたグリップにあった。
力を抜こうとする意識がうかがえ、
中田の悪癖とされていた左脇も締められた。
それがイースタンでの好結果につながった。
しかし、グリップを下げるという試みは力を抜くことができるが、
アッパースイングになる弊害を招いた。
グリップを下げた状態から始動するために、バットが下からでるのだ。
そのため一軍では二軍ほどの成績は収められなかった。
その後も、中田は一、二軍を行き来したが、
結局、一軍では持ち味の長打力を発揮するまでにはいかなかった。

~CS直前に再びフォーム改造。来季爆発への準備は整った!~

 教育リーグを挟んで、CSを前に中田は一軍に合流する。

 そして日本シリーズで例の“2打席”を迎え、変貌した姿を見せた。
 
ここへきて、なぜ、彼がフォームを変えたのかは分からない。
新たな出会いがあったのか、自ら編み出した末に、
たどり着いたものなのか。
少なくとも言えるのは、
イースタンの好成績がありながらのフォームの改造は、
彼のバッティングへの意識の高さを象徴しているといえるだろう。
それは、高校時代から積み上げられてきたものである。

 だからこそ、確信したのだ。

中田が来年には爆発するのではないかという予感めいたものが、
日本シリーズでのあの2打席にはあったのである。  



     ~筆者プロフィール 氏原英明~

1977年ブラジル生まれ。
奈良大学を卒業後、地方新聞社でのアルバイト勤務を経て、
フリー活動を開始。
高校野球を中心に活動を続けるが、
野球を通じた人間性、人生観を伝え続け、
Numberのほかに野球専門誌で活躍。
WEBの世界でも「人間力×高校野球」(高校野球情報.com)
と題したコラムを連載している。
朝食抜かない!
2008年03月16日 (日) | 編集 |
≪好き嫌い無くし・・・≫  
 
開幕二軍が決定した日ハム・中田翔内野手(18)は14日、
千葉・鎌ヶ谷の合宿所で静養。
ダルビッシュ有投手(21)から送られた
『朝食をしっかり食べろ』の金言を守り、再スタートを切る。  
兄貴のように慕うエースの助言は絶大だ。  
中田は食生活の大切さを痛感した。  
『好きな食べ物だけ食べていてはいけない。
 食欲がなくて朝ご飯を抜いたりすることがあったので、
 適量でも食べないと』―。
  

≪プロとしての自覚≫  

これまで朝食抜きで練習に臨むことがあったが、
ダルビッシュから
  
『温野菜や果物だけでも必ず食べておけ』と言われたという。  
合宿所の朝食はバイキング形式で、
温野菜や果物だけでなく、魚や納豆など多くの品目が
バランス良く揃っている。
  
プロとしての自覚も問われるだけに、
『辛抱強くやっていかないと』―。
一軍復帰の道のりは、生活習慣の改善から始まる。